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恋セヨ乙女
第15章 動き出した関係
次の日、学校帰りに駅を出ると大地がいた。


「よう」


「大地、来てくれたの?」


「久しぶりにな」


大地に駆け寄って二人並んで家路を歩く。


「そういやお前俺の疑惑晴らしてくれただろうな?」


「疑惑?」


「俺のコンプレックスー…っての」


「ああ、晴らしてないよ」


「訂正しろよ」


「…見てないもん、目で見てないものは晴らせない」


「どんだけ見たいんだよエロ真優」


コツンと大地が軽く私を小突いた。



「……24日」


「?」


「24日、ゆらちゃんたちとクリスマス会で泊まるとかアリバイ作っとけよ」


「………」


「毎年クリスマスはうち、ばーちゃんちでクリスマス会だから」


私の顔も見ずにまるで他人事みたいに淡々と話すから、その内容と口ぶりが一致しなくて私はその意図を図りかねてしまう。



「…私も行っていいの?」


「ちげーよ、…親が二人とも酒飲むから毎年泊まりなんだよ」


照れ隠しなのだろうか。大地はいつにも増してぶっきらぼうだ。


「だから二人でクリスマスしようぜ。…泊まりで」


「大地はおばあちゃんち行かなくて平気なの!?」


「今更家族でクリスマスもねーだろ」



泊まりでって…それって…アレって事だよ…ね?


「…だからそれまで俺の裸はお預けだ」


…やっぱり!
急に緊張と恥ずかしさが込み上げ動作がぎこちなくなるのが分かった。


「それってわ、私がすごく見たがってるみたいじゃない?」


「見たがってるだろ。変な妄想までして」


ふいに大地が手を繋ぐ。
どこかくすぐったい雰囲気にソワソワしてドキドキして胸がモニョモニョして。


でもそれって私だけなのだろうか。大地は……?


チラリと大地を盗み見ると偶然大地と目が合ってパッと目を反らす。


それはまるで付き合い始めの恋してるみたいな空気。
幼馴染みの私たちは好きだけど恋とは違う気がしてた。


でも…
照れる大地を見て思う。これが恋なのかと…



クリスマスイヴ、私は大地と結ばれる。
二人の関係がまた動き始める。


近くて遠いその日を待ちながら寒い冬の日が過ぎていった。


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