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恋セヨ乙女
第17章 セックスレス
―――もうどれくらいになるのか。
指折り数えため息をついた。


セックスレス…
そんなの年月の経った夫婦間だけのことだと思っていたから。


長い付き合いの私たちの相性は良かったと思う。
私に絶頂を教えてくれたのは彼だった。
私はすぐに恭也の虜になった。


恭也と交わると全てを忘れることができる。
唯一私が「私」として丸裸でいられる時間、それが彼とのセックスだった。


「鞠華浮かない顔してんな」


「…ちょっとね」


ダンサー仲間とクラブでクリスマスパーティー。
この男、――慎二は私の隣に座り煙草に火をつけた。


「…で?カレシとはどーよ」


「現状維持」


「俺が抱いてやろうか」


「……………………遠慮するわ」


「随分間があったじゃん?一瞬くらい考えた?」


「そうね」


「俺スゲーよ。女みんな喜ぶもん」


指に煙草を挟み腰を動かす慎二は根っからのおバカさん。


「…でも遠慮するわ」


誰でもいいなら私だってこんなに悩まない。
私は恭也に抱かれたいから。


「……ホントおまえのカレシもったいねーよな」


慎二は私の頭から爪先までを舐めるように見てため息をついた。


「ま、踊ろうぜ鞠華!踊ろう!?」


煙草を揉み消して私の手を取りフロアに誘う。
慎二はおバカだけどダンスはピカ一だ。
本人に自覚はないだろうけどなかなかストイックな面もある。追求心も凄い。




――――こういうヒトを好きになれば良かったのかもしれないね。



「そういや例のアーティスト、ツアーだったんだろ?」


「今日帰ってきたばっかりよ」


「マジで!?どうだった?」


「それがね…―――――――」




恭也には通じない話で盛り上がる。
その会話の殆どはダンスについてで…
仲間と飲んで踊って…


また朝が来る。


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