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恋セヨ乙女
第19章 新しい季節
春が来て私たちは三年生になった。
駅で電車を待っていると新入生の集団を見かけた。
真新しい制服に身を包んだ彼女たちは初々しくて微笑ましく思えた。
そんなことを思う自分に驚きながら、あれからもう二年経つんだと思った。
希望した高校に落ちて仕方なく入ったこの学校。
あの頃は希望より悲観の方が強かったと思う。
女子校でやっていける自信もなく大地たちを見ては複雑な想いを抱いてた。
でも通い始めたら学校生活は楽しくて。
個性豊かなクラスメイトも先生たちも私は好きになっていた。
私が志望校に落ちたコンプレックスから解放されたのはいつだったろう。
―――駅のホームを春風が通り抜ける。
それは桜の花びらを散らしながら私たちにエールを送っているように感じられた。
夢と希望。出逢い、喜び…
去年、始業式の教室で先生と目が合ったことを思い出した。
あの時は先生と関わるなんて思ってもみなかった。
授業中先生の背中に見とれていたら注意されて放課後の教室で言われた意地悪。
『鈴村さんて以外とエッチなんだね』
……それから痴漢から助けてくれて、私を心配してくれた。
私は先生を好きになった。
「懐かしいな……」
大地に告白されたことも修学旅行の夜ももう随分昔のことのように思えた。
「先生で超カッコいい人いない!?」
「あー、わかるー!」
少し離れた集団は早速先生の話で盛り上がっているようだ。
……今年も先生の周りは賑やかなんだろうな。
そんなことをぼんやり思った。
大地とは仲良くやっている。
相変わらず大地の家にはよく行く。
エッチだって…それなりに。
最近、私たちは進路の話をよくする。
大地の行きたい大学と私の考えている大学は少し距離があって、それが大地は心配らしい。
お互いの希望が叶えば気軽に行き来もできなくなるのだろうか。
私はまだぼんやりとした想像しかできないけど、とにかく大地はそこにこだわった。
――――ふいに新入生の集団から一人外れ本を読んでいる女の子が目に入った。
真新しい制服、丈の長いスカート。
……この子も新入生なのだろう。
でも周りの子と空気が違う。
どこか頑なな横顔に、あの子は二年前の私と同じなのだと気づいた。
駅で電車を待っていると新入生の集団を見かけた。
真新しい制服に身を包んだ彼女たちは初々しくて微笑ましく思えた。
そんなことを思う自分に驚きながら、あれからもう二年経つんだと思った。
希望した高校に落ちて仕方なく入ったこの学校。
あの頃は希望より悲観の方が強かったと思う。
女子校でやっていける自信もなく大地たちを見ては複雑な想いを抱いてた。
でも通い始めたら学校生活は楽しくて。
個性豊かなクラスメイトも先生たちも私は好きになっていた。
私が志望校に落ちたコンプレックスから解放されたのはいつだったろう。
―――駅のホームを春風が通り抜ける。
それは桜の花びらを散らしながら私たちにエールを送っているように感じられた。
夢と希望。出逢い、喜び…
去年、始業式の教室で先生と目が合ったことを思い出した。
あの時は先生と関わるなんて思ってもみなかった。
授業中先生の背中に見とれていたら注意されて放課後の教室で言われた意地悪。
『鈴村さんて以外とエッチなんだね』
……それから痴漢から助けてくれて、私を心配してくれた。
私は先生を好きになった。
「懐かしいな……」
大地に告白されたことも修学旅行の夜ももう随分昔のことのように思えた。
「先生で超カッコいい人いない!?」
「あー、わかるー!」
少し離れた集団は早速先生の話で盛り上がっているようだ。
……今年も先生の周りは賑やかなんだろうな。
そんなことをぼんやり思った。
大地とは仲良くやっている。
相変わらず大地の家にはよく行く。
エッチだって…それなりに。
最近、私たちは進路の話をよくする。
大地の行きたい大学と私の考えている大学は少し距離があって、それが大地は心配らしい。
お互いの希望が叶えば気軽に行き来もできなくなるのだろうか。
私はまだぼんやりとした想像しかできないけど、とにかく大地はそこにこだわった。
――――ふいに新入生の集団から一人外れ本を読んでいる女の子が目に入った。
真新しい制服、丈の長いスカート。
……この子も新入生なのだろう。
でも周りの子と空気が違う。
どこか頑なな横顔に、あの子は二年前の私と同じなのだと気づいた。