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恋セヨ乙女
第19章 新しい季節
「…やっぱり鈴村さんはエロいな」


「何がエロいんですか…」


「癪だから教えない」


先生の指が頬から首筋に降りる。
敏感な場所に指を這わされ思わず声が漏れてしまい慌てて口を押さえた。


「逃げないの?」


「………」


「ああ…その先を期待してるのか」


先生の指が首筋から鎖骨へ。そして確実にシャツの隙間を狙い降りていく。


はね除けなくてはいけない…頭では分かっているのに金縛りに遭ったように動けない。
指先だけの刺激に身体は感じて声を殺してブルブルと震えていた。


頭と体が二分したようにちぐはぐで、そんな自分がどこか他人事にも感じられる。
優しく容赦ない先生の手が胸元に辿り着いた。


ダメ…
この一線を越えたら止まらなくなると本能が察知する。


♪ピローン



その時、バッグのスマホが鳴った。


♪ピローンピローン


「………」


♪ピローンピローン



先生の手が止まる。


「あの彼氏?」


「た、多分友達。これから約束があるから」


♪ピローンピローン


「…鳴りすぎ」


気分が削がれたというように先生が手を離す。



ほっとした反面残念にも思えて、その気持ちで大地への罪悪感が押し寄せる。


「早く行きなよ」


「………」


「じゃないと本当に襲…」


「い、行きます」


バッグを抱え直してドアに走る。


……やっぱり先生は危険だ。
私は先生に迫られたら抗えない。見えない紐で縛られたみたいに先生から逃げられない。


先生に触れられた場所がジンジンしていた。


最後の最後にこんなこと……


ドアに手を掛け私は振り向く。
あと一つ、先生に聞いてみたいことがあった。


「先生は…こんなこと色んな子にしてたんですか?」


その瞬間、先生の顔が傷ついたように曇る。


「……さあ。もし…そうだとしたら?」


「最低です」


「…………」


「二年間お世話になりました」



ペコリと頭を下げドアを開けた。
先生は私の初恋だった。



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