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恋セヨ乙女
第23章 家庭訪問
残念がるお母さんを残し先生が私を連れて出る。


「今日楽しかったなー」


「ふうん」


「先生のお母さん可愛いですね」


「そうか?」


「ピョンちゃんの話も沢山してもらって…」


先生の話も聞けた。


「そんなことより…俺の事ちゃんと好きになってるの?」


「えっ!?」


「もっと好きになるんじゃなかったの?全然その素振りが見れないけど」


「………」


確かに言ったけど。
もっと好きになるって具体的にどうするんだろうって思うし。


無理してなるものでもないしなれるものでもないし…


「それは自然に任せて…」


「自然に任せて母さんと韓国俳優にうつつ?ほう…随分余裕だな」


何!?
今日の先生には棘が!


「俺が誰かのものになってから泣いても知らないぞ」


「………」


「鈴村さんはもっと…」


先生の言葉が止まる。



「鈴村さん?」


そして私を覗き込みギクリと顔を強張らせた。
その理由は明解で、私が泣いているから…



「ごめん…」


「…でもそんなこともあるかもってどこかでちゃんと思ってますから」


もっと好きになったって感じる基準は結局のところ先生で、私にはどうしようもできない気もする。


「そうじゃなくて…そうじゃなくてごめん」


先生が困ったように髪を掻き上げた。
マユも心配そうに二人を見上げている。


「鈴村さんは悪くないんだよ。…俺のエゴとか、…そろそろ俺が限界かもしれない」


「………」


「また鈴村さんが誰かのものになるかもって怯えてるのは俺だよ」


「…嘘だ」


「本当…」



先生が私を見つめて頬に触れる。
ゆっくりと傾斜をつけて唇に触れたとき、残りの涙が零れた。


そして耳元で囁かれた言葉は私が何より欲しかった二文字で 。



「………はい」



再び影が重なるのをマユが見ていた。
まだ信じられない気持ちでキスを受け止める。


「今夜真優の部屋行っていい?」


それは…きっとそういう事。


「ダメ…」


「どうして?」


「…あの日だから」


先生が少し止まって肩を落とした。


「じゃあ何もしないから行っていい?」


「……うん」


「終わったら教えて?」


「わ、わざわざ教えません!」



…先生とやっと気持ちが繋がった。


やっと……
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