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恋セヨ乙女
第24章 臨海合宿
臨海合宿…
そんな行事があるなとはなんとなく知ってはいたが詳しい内容を聞いたのは6月末の事だった。


夏休み、県の臨海宿舎に1年から3年までの希望者が二泊三日の合宿を行う。
人数は各学年定員20名とのことだけど、男子校故か年々人数は減る一方の行事らしい。


引率は主に「若手」が押し付けられる…
もとい主体となるそうで、私も半強制的に参加となる今年の希望者数は近年稀に見るらしく、参加者の抽選が行われた。


そう、臨海合宿というだけあり、勉強の合間には親睦と息抜きを兼ね教師も生徒も海に入る。



……どうやら私は期待されてるみたいで。



「真優先生おっぱい触らせて!」


「ダメ!」


挨拶代わりのセクハラも…




「真優、今日も暑いよな」


「暑いならくっつかない!」


度を過ぎたスキンシップもただでさえ困っているのに水着なんて気が重い。





そしてそんな私より不機嫌な人が居たりする……




「吉野先生、二年生全員います」


「あ、はい」



点呼を取り終え先生に報告するとかなり素っ気なく返事された。
今日の先生の周りの空気はトゲトゲしてて、なんだか近寄りにくい。


それもまた私の気を重くさせる一因で。


バスの席の私の隣は保健の山田先生で、女一人じゃないことが唯一心強くもあるのだけど…



「真優先生、学校慣れた?」


「だいぶ…」



お酒だろうか煙草だろうか。
山田先生の焼けた声は彼女の貫禄を更に高めている。


「周りが男だらけって大変よね。私も若い頃は保健室のベッドに押し倒されたりしたのよ~先生にも生徒にも」


「ええっ!?大丈夫だったんですか!?」


「…フフっ」



何ですか!その意味深な返し!



「この合宿もね、夜思い余った生徒が来るのよ。“俺を大人にしてください”って」



「ええっ!!」



「この40年女の先生も何人か居たんだけどね…みーんな辞めてったわ。妊娠した先生も居たわね…」



「だ、大問題ですね」



怖い…自意識過剰と分かってるけど改めて怖い。
斜め前の先生を見た。


先生と付き合い始めて一ヶ月と少し。
実はまだ私たちはその一線を越えていない。

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