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恋セヨ乙女
第28章 花の嵐
「真優ちゃん綺麗よ…恭也に見せるのが勿体ないくらい」
「やだもう、先生に見せなくちゃ始まらないわよねぇ」
今日も両母は誰よりパワフルで控え室に押し掛ける。
「…変じゃないかな」
先生が選んでくれたドレスに身を包む私は、先生の目にどう映るのだろう。
少し離れた場所にいるお父さんと目が合う。
お父さんは私を見て頷き、控え室から出て行った。
「もう…本当に不器用っていうか…」
「男の人はあんな感じなんじゃないかしら」
お母さんたちのおしゃべりが止んだのは係りの人の一言だった。
「お母様方、ご親族様の写真撮影を行いますので控え室にお戻りください」
「あら写真!?やだわ、メイク直さないと」
「ちょっと時間もらえますか!?」
パタパタとお母さんたちが出ていくと部屋は一気に静かになった。
「………やれやれ」
一息つくとドアが鳴る。
「はい」
そして入ってきたのは先生で……
「………」
白いタキシードの先生はまるで王子様みたい。
そんな先生にドキドキした。
「やっぱりよく似合う」
「…恭也さんは王子様みたいですよ」
そういえば昔、「王子」なんて呼ばれてたっけ。
「知ってた?恭也さん昔みんなにも“王子様みたい”って言われてたの」
「知ってた。ならあの学校に就職したのは姫探しだったのかもな。違う意味で過酷だったし」
「……見つけてくれた?」
「一目見て分かったよ」
先生と生徒として出逢った春。
卒業で別れた春…
四年後、再会して想いが通じて…
またここから私たちの第一歩が始まる。
無駄な時間なんて一つもなかった。
悩みも苦しみも、悲しみも涙も全てが今へと続いていた。
これから、二人で歩む人生は分け合えるものと増えるものできっと今まで以上に彩が増す。
そしてまた足跡を振り返る日が来たら、思い出も幸せも今以上に増えていると思うから……
「…今日からまたよろしくお願いします」
「こちらこそ」
固く握手を交わし、未来を見つめる。
この手を離さず歩いていこう。
病めるときも健やかなるときも、悲しいときも幸せなときも……
そう胸に固く誓った。
「やだもう、先生に見せなくちゃ始まらないわよねぇ」
今日も両母は誰よりパワフルで控え室に押し掛ける。
「…変じゃないかな」
先生が選んでくれたドレスに身を包む私は、先生の目にどう映るのだろう。
少し離れた場所にいるお父さんと目が合う。
お父さんは私を見て頷き、控え室から出て行った。
「もう…本当に不器用っていうか…」
「男の人はあんな感じなんじゃないかしら」
お母さんたちのおしゃべりが止んだのは係りの人の一言だった。
「お母様方、ご親族様の写真撮影を行いますので控え室にお戻りください」
「あら写真!?やだわ、メイク直さないと」
「ちょっと時間もらえますか!?」
パタパタとお母さんたちが出ていくと部屋は一気に静かになった。
「………やれやれ」
一息つくとドアが鳴る。
「はい」
そして入ってきたのは先生で……
「………」
白いタキシードの先生はまるで王子様みたい。
そんな先生にドキドキした。
「やっぱりよく似合う」
「…恭也さんは王子様みたいですよ」
そういえば昔、「王子」なんて呼ばれてたっけ。
「知ってた?恭也さん昔みんなにも“王子様みたい”って言われてたの」
「知ってた。ならあの学校に就職したのは姫探しだったのかもな。違う意味で過酷だったし」
「……見つけてくれた?」
「一目見て分かったよ」
先生と生徒として出逢った春。
卒業で別れた春…
四年後、再会して想いが通じて…
またここから私たちの第一歩が始まる。
無駄な時間なんて一つもなかった。
悩みも苦しみも、悲しみも涙も全てが今へと続いていた。
これから、二人で歩む人生は分け合えるものと増えるものできっと今まで以上に彩が増す。
そしてまた足跡を振り返る日が来たら、思い出も幸せも今以上に増えていると思うから……
「…今日からまたよろしくお願いします」
「こちらこそ」
固く握手を交わし、未来を見つめる。
この手を離さず歩いていこう。
病めるときも健やかなるときも、悲しいときも幸せなときも……
そう胸に固く誓った。