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恋セヨ乙女
第29章 エピローグ
「真優ちゃんやっぱり恭也に連絡しましょう」


「…生徒を放って帰るわけにはいかないからいいです」


「子宮口もそんなに開いてないみたいだし、初産だから間に合うとは思うけど…もし生まれることになったら真優、あなた母親なんだから先生がいなくても頑張れるわね」


「うん…」



本当は心細くて泣きそうだった。
先生が側にいない不安とこの痛み…


結局その日は生まれる気配のないまま夜を越す。


翌日、先生が駆けつけたのは分娩室に入る本当に直前だった。








それから二時間……





「おめでとうございます、男の子ですよ」



猫みたいな産声が分娩室に響く。
生まれたての我が子は軽いのに、何より重く感じられた。





――――新しい命が誕生した。



人が人と出逢い恋をして命を繋げる。
アダムとイヴの時代から繰り返された連鎖が次の世代へ今、繋がった。




「お疲れ様」


先生が私の手をギュッと握る。



「うん…」


握り返す力もなく先生に身を任せ大役の後の満足感に浸る。


「ゆっくり休んで」


「うん……」


髪を撫でてくれる手が優しくて、そのままゆっくりと瞳を閉じた。


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