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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第9章 玲奈~セクハラ常習犯に狙われた人妻
「遅いのね、今夜も」
その日の夜、玲奈は自宅に戻った夫を珍しく玄関まで出迎えた。
「どうした。まだ起きてたのか」
「私もさっき帰ったところだから」
「そうか」
共に管理職として働く身である。
帰宅時間も毎夜遅く、会話を交わす時間などほとんどない。
週末でさえも、夫は付き合いだとして頻繁に家を空けた。
そして、寝室はもう随分前から別だ・・・・。
結婚して8年。
2人の関係は、完全に冷え切っているといってよかった。
勿論、会社側にはまだこの事実は知られてはいない。
家庭内の問題が、昇格に敏感に影響するような会社なのだ。
「あなた、少し話があるんだけど」
「今度にしてくれないか。今夜はまだ少しやることがあるんだ」
「すぐに終わるから」
妻を避けようとしている夫を、玲奈は強引にリビングに引き留めた。
「実はね、ハラスメント課のことなんだけど」
「おいおい、よしてくれよ。仕事のことは家には持ち込まないって約束・・・」
「柳田さんのことよ」
「柳田?」
無関心を装っていた夫の表情がこわばったことを、玲奈は見逃さなかった。
「柳田がどうした? また問題でもやらかしたか?」
冷蔵庫から缶ビールを取り出し、夫は遠慮なく喉に流し込んだ。
「セクハラの訴えがまた届いたのよ」
「あいつも病気だな。まあ、昔から悪事を働くやつだったが」
テーブルに座った夫は、嫌な話題をするかのように顔をしかめる。
「それで、私、今回は徹底的に調べ上げたいって思うんだけど、どうかしら」
「俺の許可なんかいらないさ」
妻にそう告げた夫は、早々に話を切り上げようとその場に立った。
「あいつは会社のくずだ。この際、はっきりした罰を与えてやるべきだよ」
「そうね・・・・・」
「ただ、くれぐれも俺を巻き込むなよ。それだけは頼むぞ」
「あなた・・・・・」
それ以上の会話は不要とでもいうように、夫は妻の前から立ち去った。
残された玲奈は、1人、過去の記憶をたぐりよせている。
10年ほど前、柳田の不正を告発したのは誰あろう夫だった。
同期入社で出世レースのトップを競っていた二人。
だが、競争相手からの思わぬ告発で、柳田はそこから滑り落ちた。
いや、それだけではない。
柳田は、玲奈夫婦に対して特別な感情を持つ理由があった。
その日の夜、玲奈は自宅に戻った夫を珍しく玄関まで出迎えた。
「どうした。まだ起きてたのか」
「私もさっき帰ったところだから」
「そうか」
共に管理職として働く身である。
帰宅時間も毎夜遅く、会話を交わす時間などほとんどない。
週末でさえも、夫は付き合いだとして頻繁に家を空けた。
そして、寝室はもう随分前から別だ・・・・。
結婚して8年。
2人の関係は、完全に冷え切っているといってよかった。
勿論、会社側にはまだこの事実は知られてはいない。
家庭内の問題が、昇格に敏感に影響するような会社なのだ。
「あなた、少し話があるんだけど」
「今度にしてくれないか。今夜はまだ少しやることがあるんだ」
「すぐに終わるから」
妻を避けようとしている夫を、玲奈は強引にリビングに引き留めた。
「実はね、ハラスメント課のことなんだけど」
「おいおい、よしてくれよ。仕事のことは家には持ち込まないって約束・・・」
「柳田さんのことよ」
「柳田?」
無関心を装っていた夫の表情がこわばったことを、玲奈は見逃さなかった。
「柳田がどうした? また問題でもやらかしたか?」
冷蔵庫から缶ビールを取り出し、夫は遠慮なく喉に流し込んだ。
「セクハラの訴えがまた届いたのよ」
「あいつも病気だな。まあ、昔から悪事を働くやつだったが」
テーブルに座った夫は、嫌な話題をするかのように顔をしかめる。
「それで、私、今回は徹底的に調べ上げたいって思うんだけど、どうかしら」
「俺の許可なんかいらないさ」
妻にそう告げた夫は、早々に話を切り上げようとその場に立った。
「あいつは会社のくずだ。この際、はっきりした罰を与えてやるべきだよ」
「そうね・・・・・」
「ただ、くれぐれも俺を巻き込むなよ。それだけは頼むぞ」
「あなた・・・・・」
それ以上の会話は不要とでもいうように、夫は妻の前から立ち去った。
残された玲奈は、1人、過去の記憶をたぐりよせている。
10年ほど前、柳田の不正を告発したのは誰あろう夫だった。
同期入社で出世レースのトップを競っていた二人。
だが、競争相手からの思わぬ告発で、柳田はそこから滑り落ちた。
いや、それだけではない。
柳田は、玲奈夫婦に対して特別な感情を持つ理由があった。