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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第10章 菜々姫~囚われた戦国の美妻
ハアハアハア・・・・・
闇の中、菜々は夢中で駆け続けた。
激しく戦闘を繰り広げる武者たちの声が次第に遠ざかっていく。
月のない夜は、完全な闇に覆われていた。
どれほどの時間を走り続けたか、既にその感覚はない。
甚八は常に周囲に鋭い視線を投げ続けた。
闇の中でも全てを見通せるかのように、彼は的確に進路を選んで行った。
「奥方様、こちらへ」
この夜が初対面といっていい下級の家臣に、菜々は全幅の信頼を置いていた。
林を抜け、いくつもの村を過ぎた。
一度、菜々は城の方向に走っていく集団と遭遇しかけた。
盗賊の集団のように見える、10人程度の男どもだった。
甚八に手を引かれ、菜々は慌てて闇に姿を隠した。
「勝重は自害したと見せかけて城から脱出したらしい」
「どうやら奥方も一緒という噂だ」
「菜々姫か?」
「あの戦国一の美貌の持ち主と名高い菜々姫様よ」
「へへっ、それはおもしろくなってきた」
「何としても捕えたいものよ」
盗賊どもは、こんな会話と共に闇の中に消えていった。
菜々は生きた心地がしなかった。
「奥方様、さあ、参りましょう」
「甚八、わらわは・・・・・」
「心配は無用にござる」
口数少ない家来の言葉が、菜々に重く響く。
立ち上がった菜々は、再び甚八と共に逃げた。
更に未明まで走り続けた菜々は、遂にその肢体を動かすことができなくなった。
「甚八、もう走れぬ」
人の気配がない林の中で、菜々は大木の下に崩れ落ちた。
「奥方様、お気を確かに」
甚八に抱えられながら、菜々は更に林の奥に逃げ込んだ。
「ここであれば誰かに気付かれる危惧はございませぬ」
「そうか・・・・・・」
「拙者、水の気配を感じます」
「水・・・」
「奥方様、ここでしばしお待ちを」
「どこへ行くつもりじゃ・・・・・・」
「水を探してまいります。決してここを動いてはなりませぬ」
「うむ、わかった・・・・・・」
闇の中を跳躍するように走り去った甚八の後姿を、菜々は見つめた。
菜々を睡魔が襲ったのはその直後であった。
深い眠りと共に、菜々は意識を失った。
夢の中に夫の姿があった。
「勝重様・・・・」
菜々がそんな言葉を漏らした時だった。
何者かが菜々の肢体を察知した。
「見つけた」
闇の中、複数の影が菜々に接近していく。
闇の中、菜々は夢中で駆け続けた。
激しく戦闘を繰り広げる武者たちの声が次第に遠ざかっていく。
月のない夜は、完全な闇に覆われていた。
どれほどの時間を走り続けたか、既にその感覚はない。
甚八は常に周囲に鋭い視線を投げ続けた。
闇の中でも全てを見通せるかのように、彼は的確に進路を選んで行った。
「奥方様、こちらへ」
この夜が初対面といっていい下級の家臣に、菜々は全幅の信頼を置いていた。
林を抜け、いくつもの村を過ぎた。
一度、菜々は城の方向に走っていく集団と遭遇しかけた。
盗賊の集団のように見える、10人程度の男どもだった。
甚八に手を引かれ、菜々は慌てて闇に姿を隠した。
「勝重は自害したと見せかけて城から脱出したらしい」
「どうやら奥方も一緒という噂だ」
「菜々姫か?」
「あの戦国一の美貌の持ち主と名高い菜々姫様よ」
「へへっ、それはおもしろくなってきた」
「何としても捕えたいものよ」
盗賊どもは、こんな会話と共に闇の中に消えていった。
菜々は生きた心地がしなかった。
「奥方様、さあ、参りましょう」
「甚八、わらわは・・・・・」
「心配は無用にござる」
口数少ない家来の言葉が、菜々に重く響く。
立ち上がった菜々は、再び甚八と共に逃げた。
更に未明まで走り続けた菜々は、遂にその肢体を動かすことができなくなった。
「甚八、もう走れぬ」
人の気配がない林の中で、菜々は大木の下に崩れ落ちた。
「奥方様、お気を確かに」
甚八に抱えられながら、菜々は更に林の奥に逃げ込んだ。
「ここであれば誰かに気付かれる危惧はございませぬ」
「そうか・・・・・・」
「拙者、水の気配を感じます」
「水・・・」
「奥方様、ここでしばしお待ちを」
「どこへ行くつもりじゃ・・・・・・」
「水を探してまいります。決してここを動いてはなりませぬ」
「うむ、わかった・・・・・・」
闇の中を跳躍するように走り去った甚八の後姿を、菜々は見つめた。
菜々を睡魔が襲ったのはその直後であった。
深い眠りと共に、菜々は意識を失った。
夢の中に夫の姿があった。
「勝重様・・・・」
菜々がそんな言葉を漏らした時だった。
何者かが菜々の肢体を察知した。
「見つけた」
闇の中、複数の影が菜々に接近していく。