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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第10章 菜々姫~囚われた戦国の美妻
山中で遭遇した集団は三十名ほどであった。
皆が広間の片隅に座り、黙して頭領格の老人に従っている。
「主が滅ぶならそれまで。われら我が道を行くのみ」
「お主たちには忠義という存念はござらんのかな」
沈黙を貫いていた甚八が、初めて言葉を発した。
一段高い場に座る老人は、目の前の屈強そうな男を冷たく見つめた。
「忠義とな」
「さよう。時流に乗って主を変える。この度も滅びる藤川を見捨て、新たな支配者に媚を売ろうとしておる」
「・・・・・」
「恥じはないのかえ。藤川方の人間をとらえ、新たな城主に差し出すような真似が」
「だとしたら、どうだ」
「金にはなる。国境の峠を支配する盗賊の立場も保護されるであろうのお」
菜々は圧倒されていた。
甚八がここまでの弁舌をふるうことに。
彼は、盗賊の頭と思われる老人におびえてはいなかった。
「お主、藤川の忍びであろう」
「しれ事を。わしは一介の百姓じゃて」
沈黙。
広間に座る男どもは、口を開かず、頭領の姿を見つめている。
「お主の言う通り、藤川方は金になる。この峠を敗走する落武者狩りを我らはしておる」
「あいにく我らは落武者ではない」
「それじゃて。もう一度、わしから問わせてもらおう」
老人が立ち上がった。
小柄だが、敏捷そうな筋骨を備えた体つきだ。
段を降り、ゆっくりと甚八、菜々のもとに近づく。
「このおなご、勝重の奥方であろう」
「笑わせるでない」
甚八が下を向いたまま低く答えた。
「この十字はなんじゃ」
老人の細い煙管が、菜々の小袖の中に潜り込む。
ふくよかな乳房の谷間に煙管が差し込まれていく。
縛り上げられた菜々が、顔を僅かに歪ませる。
「いい体をしておる」
やがて、煙管の先に銀色の十字の鎖が掛かる。
「百姓でも伴天連に入信するご時世よ」
甚八がうっすらと笑みを浮かべて言った。
老人は甚八を無視し、煙管を菜々の胸元から抜いた。
「では別の手立てで調べるまで」
老人の視線が、配下の連中が座る辺りに流れた。
一人が立ち上がり、足早に外に出る。
やがて、土間のそばにある木戸が開き、数名の武士が連れ込まれた。
菜々の表情に緊張が走った。
皆が広間の片隅に座り、黙して頭領格の老人に従っている。
「主が滅ぶならそれまで。われら我が道を行くのみ」
「お主たちには忠義という存念はござらんのかな」
沈黙を貫いていた甚八が、初めて言葉を発した。
一段高い場に座る老人は、目の前の屈強そうな男を冷たく見つめた。
「忠義とな」
「さよう。時流に乗って主を変える。この度も滅びる藤川を見捨て、新たな支配者に媚を売ろうとしておる」
「・・・・・」
「恥じはないのかえ。藤川方の人間をとらえ、新たな城主に差し出すような真似が」
「だとしたら、どうだ」
「金にはなる。国境の峠を支配する盗賊の立場も保護されるであろうのお」
菜々は圧倒されていた。
甚八がここまでの弁舌をふるうことに。
彼は、盗賊の頭と思われる老人におびえてはいなかった。
「お主、藤川の忍びであろう」
「しれ事を。わしは一介の百姓じゃて」
沈黙。
広間に座る男どもは、口を開かず、頭領の姿を見つめている。
「お主の言う通り、藤川方は金になる。この峠を敗走する落武者狩りを我らはしておる」
「あいにく我らは落武者ではない」
「それじゃて。もう一度、わしから問わせてもらおう」
老人が立ち上がった。
小柄だが、敏捷そうな筋骨を備えた体つきだ。
段を降り、ゆっくりと甚八、菜々のもとに近づく。
「このおなご、勝重の奥方であろう」
「笑わせるでない」
甚八が下を向いたまま低く答えた。
「この十字はなんじゃ」
老人の細い煙管が、菜々の小袖の中に潜り込む。
ふくよかな乳房の谷間に煙管が差し込まれていく。
縛り上げられた菜々が、顔を僅かに歪ませる。
「いい体をしておる」
やがて、煙管の先に銀色の十字の鎖が掛かる。
「百姓でも伴天連に入信するご時世よ」
甚八がうっすらと笑みを浮かべて言った。
老人は甚八を無視し、煙管を菜々の胸元から抜いた。
「では別の手立てで調べるまで」
老人の視線が、配下の連中が座る辺りに流れた。
一人が立ち上がり、足早に外に出る。
やがて、土間のそばにある木戸が開き、数名の武士が連れ込まれた。
菜々の表情に緊張が走った。