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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第11章 千恵子~豪華クルーズ船にて
透と千恵子は、誘われるがまま、隣接するバーを訪れた。

まだ時間が早いせいか、店内は空いている。

戸惑いを隠せないまま、二人は席に着いた。

「すみませんねえ、突然声なんかかけて。お邪魔だったでしょう?」

そう声をかける女性は、魅力的な笑顔を浮かべている。

隣に座る夫と共に、恐らくは50代半ばだろう。

だが、二人とも若々しさを十分にたたえた外見をしている。

そして、嫌味な部分がまるでなかった。

千恵子を除きアルコールを頼んだ4人は、改めて乾杯をした。

「阪本と申します。私は菊枝、主人は敬一。アラカン世代の夫婦です」

あっけらかんとした様子で、妻、菊枝が言った。

夫、敬一は口数が少ないタイプか、にこにこと笑みを浮かべているだけだ。

紳士と言う形容がぴたりと当てはまる、上品でハンサムな男性であった。

「あ、あの里島透と申します。こちらは妻の千恵子です」

透は少し慌てた様子で自己紹介をした。

「初めてですか、クルーズ旅行は」

菊枝に聞かれた透は、今回参加した経緯を説明した。

結婚10年を記念して初めてのクルーズ旅行に参加したこと。

7歳になる息子がいて、実家に置いてきたこと。

「結婚10年の記念ですか。素敵ですわね」

「え、ええ、まあ・・・・・」

「奥様もさぞ嬉しいんじゃないかしら」

菊枝の言葉に、千恵子はやや恥ずかしげにうなずいた。

そんな千恵子の様子を、敬一が穏やかな笑みと共に見つめている。

ロマンスグレーの髪が、丁寧に整えられている。
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