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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第12章 泉~遠い昔の記憶
幸い、と言っていいものかわからないが、我々に子供はない。

この2年、我々は失業保険、僅かな解雇手当、そして貯金を切り崩して過ごしてきた。

臨時の仕事にもいくつか携わってきた。

だが、苦しさは確実に増している。

マンションから古いアパートに引越し、生活費を切り下げた。

テーブルの上には、そのアパートの家賃の請求書が置かれている。

「払えないことはないが」

既に3か月分の滞納。

金をかき集めれば、払えないことはないのかもしれない。

だが、親切な大家に甘えるように、ここまで支払猶予をもらってきた。

食費、光熱費、水道代だって確保しなければならないのだ。

50代男性である大家は、早々に会社員生活をリタイアし、親を引継ぎ、アパート経営を開始したとのことだった。

妻を早くに亡くし、独り者だという。

「お金ができたときに払ってくださいよ」

最初、彼は私たちにそんな風にやさしく言ってくれていたのだ。

その彼の態度が急変したのを妻から聞かされたのは、今朝だった。

「奥さん。いつまでも甘えてもらっても困りますな」

大家は、昨日、妻にそんなきつい口調で支払いを催促してきたらしい。

「あなた。いったん、無理にでもお支払いしましょう」

「もう少し待ってはもらえないだろうか」

「もうこれ以上は・・・・・」

困惑する妻の表情には、どこか男をそそるような雰囲気があった。

このような深刻な場面で、ふとそんなことを感じてしまう自分に、私は腹が立った。

だが、その感情は、私の脳内の何かを激しくノックした。

デジャブ、ではない・・・・・。

だが。

昔、これと似たような・・・・・。

もう何年も、いや、何十年も封印していた記憶。

あれは確か・・・・・・。

俺がまだ中学のときだ・・・・・・。

目の前の妻の姿を見つめながら、私は過去眠り続けてきた記憶が鮮明に蘇ってくるのを知った。
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