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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第12章 泉~遠い昔の記憶
中国地方の、とある都市が私の故郷だ。

大学入学で上京するまで、私はその街で生まれ育った。

中学の頃、街には多くの不良生徒がたむろしていたものだ。

いわゆる、校内暴力が吹き荒れた時代だ。

一応、私は優秀な生徒に部類されていた。

教師からの受けもよく、中学のころはクラス委員に任命されたりもしていた。

だが、いわゆるがり勉タイプではなく、不良生徒たちとも距離をおかず、適当に付き合っていた。

あれは、中学2年のときだ。

同じクラスに、校内で最も問題視されていた不良生徒がいた。

荒木という名の彼は、中学になってから私と同じ学校に引越してきた。

少年院を経験したとか家庭裁判所の常連だとか、伝説のような噂の持ち主だった。

彼は、私の中学にいた番長格の男を、僅か一週間で蹴散らした。

下剋上を絵にかいたような展開で、彼は瞬く間に校内を支配したのだ。

そんな荒木は、どういうわけか、私に接近を図ってきた。

別にいじめとかじゃない。

熱帯魚を育てるという、共通の趣味があったせいかもしれない。

私たちは、放課後、よく一緒に遊ぶようになった。

金髪のリーゼントにぶかぶかの学生服。

たばこは勿論、もっとあぶない液体にも手を出すようなタイプ。

そんな彼が、子供の用に熱帯魚をかわいがるのだ。

私には、その姿がどうにもおかしかった。

そして、妙に私たちはうまがあった。

「おまえ、荒木とよく一緒に遊べるなあ」

友人たちは、心配そうに私によく言ったものだ。

だが、私は彼と遊ぶ時間が楽しかった。

授業後、彼の家に行って水槽を眺めるのが楽しかった。

「いらっしゃい。樋口君」

彼の母親が、私をいつも優しく迎えてくれた。

荒木の家は、母子家庭だった。
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