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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第16章 奈穂子~無人島での出来事
「ママ、あれ雲かなあ」
奈穂子が息子の言葉を聞いたのは、午後2時をまわったころだった。
「えっ?」
奈穂子はビーチに置かれた椅子の上で、夫とのんびり横になっていた。
波打ち際で遊んだり、シュノーケリングを楽しんでいるツアー参加者もいる。
大学生の将吾と海の中で遊んでいた息子が、奈穂子のもとに走り寄ってきた。
「真っ暗だよ、あっちの空」
息子が示す空を見つめ、奈穂子は思わず夫に声をかけた。
「あなた、見て」
「どうした?」
「スコールでも来るのかしら」
本島とは逆の方角、沖の辺りに黒い雲が広がっている。
「一雨来るのかもしれないな」
頭上にはまだ青空と太陽があった。
しかし、何となく風が強まっているようでもあった。
「ママ、帰れるかなあ」
「当たり前じゃない。帰れないと学校に戻れないわよ」
「そのほうがいいな。この無人島にずっといたいや」
「まあ」
奈穂子は息子の無邪気な様子に笑いながらも、僅かな不安を感じ始めていた。
「波が高くなってきましたよね」
息子と一緒にいる将吾が、海を見つめてそうつぶやいた。
いつしか、海で遊んでいるツアー客はいなくなった。
時間の経過とともに風は強まり、波は確実に荒れ始めている。
「ボートが心配だな」
夫の言葉に、奈穂子は今朝、この島に来る時のことを思い出した。
晴れていたが波がかなり高く、小さなボートは揺れに揺れた。
「そうね、波が穏やかになればいいけど」
次第に周辺が暗さを増してきた。
みるみるうちに空を黒雲が覆い、強い風が吹き始めた。
「皆さん、あちらに避難してください!」
男性ガイドの案内に、参加者はビーチ奥の岩陰に集まった。
自然の岩が小さな屋根となった小さな空間。
20人弱のツアー参加者はそこに集まり、嵐が過ぎ去るのを待つことにした。
やがて、猛烈な雨が降り始めた。
ビーチに置かれた椅子やパラソルが暴風に吹き飛ばされる。
「ママ、こわいよ」
冗談を言っていた息子が、今はもう、すっかり怯えている。
「大丈夫だよ。ただのスコールだから1時間も経てばまた晴れるさ」
傍らに立つ将吾が、力強く励ましの言葉をかけた。
「将吾君の言う通りよ。しばらくの辛抱だから」
奈穂子はそう言いながらも、夫の腕をそっと握った。
だが、事態は思わぬ方向に展開していく。
奈穂子が息子の言葉を聞いたのは、午後2時をまわったころだった。
「えっ?」
奈穂子はビーチに置かれた椅子の上で、夫とのんびり横になっていた。
波打ち際で遊んだり、シュノーケリングを楽しんでいるツアー参加者もいる。
大学生の将吾と海の中で遊んでいた息子が、奈穂子のもとに走り寄ってきた。
「真っ暗だよ、あっちの空」
息子が示す空を見つめ、奈穂子は思わず夫に声をかけた。
「あなた、見て」
「どうした?」
「スコールでも来るのかしら」
本島とは逆の方角、沖の辺りに黒い雲が広がっている。
「一雨来るのかもしれないな」
頭上にはまだ青空と太陽があった。
しかし、何となく風が強まっているようでもあった。
「ママ、帰れるかなあ」
「当たり前じゃない。帰れないと学校に戻れないわよ」
「そのほうがいいな。この無人島にずっといたいや」
「まあ」
奈穂子は息子の無邪気な様子に笑いながらも、僅かな不安を感じ始めていた。
「波が高くなってきましたよね」
息子と一緒にいる将吾が、海を見つめてそうつぶやいた。
いつしか、海で遊んでいるツアー客はいなくなった。
時間の経過とともに風は強まり、波は確実に荒れ始めている。
「ボートが心配だな」
夫の言葉に、奈穂子は今朝、この島に来る時のことを思い出した。
晴れていたが波がかなり高く、小さなボートは揺れに揺れた。
「そうね、波が穏やかになればいいけど」
次第に周辺が暗さを増してきた。
みるみるうちに空を黒雲が覆い、強い風が吹き始めた。
「皆さん、あちらに避難してください!」
男性ガイドの案内に、参加者はビーチ奥の岩陰に集まった。
自然の岩が小さな屋根となった小さな空間。
20人弱のツアー参加者はそこに集まり、嵐が過ぎ去るのを待つことにした。
やがて、猛烈な雨が降り始めた。
ビーチに置かれた椅子やパラソルが暴風に吹き飛ばされる。
「ママ、こわいよ」
冗談を言っていた息子が、今はもう、すっかり怯えている。
「大丈夫だよ。ただのスコールだから1時間も経てばまた晴れるさ」
傍らに立つ将吾が、力強く励ましの言葉をかけた。
「将吾君の言う通りよ。しばらくの辛抱だから」
奈穂子はそう言いながらも、夫の腕をそっと握った。
だが、事態は思わぬ方向に展開していく。