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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第16章 奈穂子~無人島での出来事
風雨の激しさは、想像をはるかに超えた。

岩の下に避難しているツアー客も、雨から逃げることはできなかった。

「ママ・・・・」

怯える息子を抱きしめる奈穂子もまた、強い不安に襲われていた。

ビキニの上にタンクトップとショートパンツを身に着けているだけだ。

雨で濡れた躰に、しかし奈穂子は構うことなく、息子を抱き寄せている。

「凄い嵐だなあ。なかなか体験できないからいい思い出になるよ、きっと」

大学生の将吾が、落ち着いた口調で奈穂子の息子を励ます。

奈穂子は、そんな彼の言葉を噛みしめ、自分自身も何とか平静を維持し続けた。

1時間以上も続いただろうか。

やがて、雨と風が少しずつ穏やかなものに変わり始めた。

ツアー客には若い女性が多かった。

すっかり安堵した彼女たちの笑い声が響く。

「よかったわ」

息子の体を抱きながら、奈穂子が声をかけた。

「ちぇっ。帰らなきゃいけないや」

あれほど弱気だった息子が、すっかり生意気さを取り戻していた。

「そんなこと言って。あんなに泣きそうだったのに」

「将吾兄さんがいたから怖くはなかったよ」

息子の言葉に、奈穂子は改めて将吾の頼もしさを感じた。

「将吾君、ありがとう。おかげで心強かったわよ」

「いや、僕は何も・・・」

恥ずかし気に笑いながら、将吾は顔を赤くした。

「しばらく見ないうちに将吾君もすっかり立派な大人になったな」

奈穂子の夫に声をかけられ、将吾は更に照れた様子で言った。

「いえ、まだまだ子供ですよ、僕なんて」

やがて、雨はすっかり上がった。

再び青空が広がり、太陽も顔をのぞかせた。

若い女性客が歓声をあげながら、波打ち際に走っていく。

そんな彼女たちに、ツアーガイドが慌てて声をかけた。

「まだ海には入らないで! 波が高いですから!」

その言葉に、奈穂子は海を見つめた。

確かに、波は嵐の前とは比較にならないほどに、大きく荒れていた。

「すっかり晴れたのに、波があんなに高いわ」

奈穂子は夫に不安げにささやいた。

「嵐が完全に遠ざからない限り、波は収まらないかもな」

「ボートは大丈夫かしら」

「もうしばらくは無理だろう」

奈穂子は腕時計を見た。

午後4時をまわっている。

本島に戻るべき時間は、既に1時間ほど過ぎている。
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