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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第16章 奈穂子~無人島での出来事
太陽はまだ高い位置にある。

それでも、少しずつ夕闇の気配が迫ってきていた。

「ママ、帰れるかなあ」

嵐の後、将吾と一緒に砂浜で遊んでいた息子が、再び奈穂子のもとにやってきた。

「波がまだ高いわ」

奈穂子は誰ともなくつぶやいた。

「あそこまで戻るだけなんだが」

奈穂子の夫は、遠くにぼんやり浮かぶ本島の影に視線を注いでいる。

本島まで1時間はかかる。

ツアーガイドは、嵐が去った後から無線機に向かって話続けていた。

この無人島には通常の携帯の電波は届かない。

「出発できない波では・・・・、それが救命胴衣が・・・・」

ガイドの会話が漏れ聞こえてくる。

「乗員を減らしたほうが安全かもしれない」

「どういうこと?」

奈穂子は夫に尋ねた。

「恐らく定員オーバーで来たんだろう」

「定員オーバー?」

奈穂子は、砂浜にいるツアー参加者を改めて見つめた。

「奈穂子さん、大丈夫です。僕、泳ぎだけは得意ですから」

「じゃあ、ボートで何かあったら将吾君に助けてもらおうかしら」

雰囲気を和らげようと、奈穂子が笑った時だった。

「少しいいですか?」

男性ツアーガイドが、無線機を抱えながら奈穂子たちのそばに歩いてきた。

「ボートは大丈夫ですか?」

奈穂子の夫の言葉に、ガイドはまさにそれなんですというようにうなずいた。

「波がまだ少し高い状態です。これを予想できずにツアーを決行してしまったことは本当に申し訳ないのですが」

「仕方ないですよ。あれだけ晴れていたんですから」

奈穂子の夫の言葉にガイドは少し表情を明るくした。

そして、こう切り出した。

「今から本島に戻ります。ただ、全員を一度に乗せるのは危険だと、本部から指示がありまして」

ガイドの言葉に、奈穂子の夫はやや納得がいかないようだった。

だが、それをここで追及してもどうにもならないことを、彼は理解していた。

「では、いったん我々が残りましょうか」

夫の言葉に、ガイドは小さく首を振った。

「できれば男性の方お一人には乗っていただきたいのです」

「何かあったときのために?」

「他のお客様は若い女性の方ばかりですから」

ガイドの言葉に、皆が沈黙した。

口を開いたのは将吾だった。

「じゃ僕が先に乗りますよ。泳ぎには自信ありますから」
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