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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第16章 奈穂子~無人島での出来事
「ママ、僕も早く帰りたいよ」
息子の表情に不安が満ちている。
奈穂子は海を見た。
波は少しずつ穏やかになっているようだ。
これなら全員帰れるのではないだろうか。
だが、ガイドは将吾を見つめ、慎重を期すように言った。
「では、こちらのお兄さんに乗船いただいて、いったん3名様は」
「いえ、こうしましょう」
奈穂子の夫がガイドの言葉を制した。
「私と10歳の息子が先に乗ります」
奈穂子も同じことを考えていた。
将吾を危険な目にあわせることはできない。
「妻と彼をいったん島に残します。10歳の息子は早く戻したいですから」
「なるほど」
「救命胴衣はありますね?」
「勿論です」
二人乗員が減れば、恐らく救命胴衣も足りるのだろう。
奈穂子はそんなことを想像した。
「奈穂子、大丈夫だよな」
「私もそう考えていたわ」
「しかし、ガイドさん、妻たちを今日中に連れ戻せますか?」
波が完全に収まっても、奈穂子たちが戻れる時間は夜になるはずだ。
「別のボートが出せないか、今、本島で調整中です」
「それは助かります」
「最悪夜になっても、波が問題なければボートは動かせますから」
夕闇が濃くなってきた。
ガイドは一刻も早く出発したいようだった。
「では参りましょうか」
夫と息子、そして他のツアー客が、揃いの救命胴衣を装着した。
波はもうほとんど荒れていない。
午前に来る時のほうが高かったように思える。
だが、万全を期すなら、こうしたほうがいいのだろう。
奈穂子は自分に言い聞かせた。
「ママ、お先に!」
陽気にはしゃぐ息子を見つめ、奈穂子は安堵を得た。
「奥様、念のため、予備の無線機を1台置いていきます」
ガイドは将吾に簡単な操作方法を教えた。
「将吾君、後は頼むぞ」
夫の言葉に、奈穂子は強気に返した。
「まるで私が子供みたい」
やがて、ボートが島を離れた。
薄闇の中、すっかり穏やかになった海をボートが快調に滑り出す。
将吾は見えなくなるまで、奈穂子の息子と手を振りあっていた。
「行っちゃったわ」
ぽつりと漏らした奈穂子に、将吾が言った。
「すぐ僕たちのボートも来ますよ、この波なら」
「そうね」
二人は砂浜に置かれたデッキチェアに座り、暮れていく海を見つめた。
遠方の空から再び雲が忍び寄っている。
息子の表情に不安が満ちている。
奈穂子は海を見た。
波は少しずつ穏やかになっているようだ。
これなら全員帰れるのではないだろうか。
だが、ガイドは将吾を見つめ、慎重を期すように言った。
「では、こちらのお兄さんに乗船いただいて、いったん3名様は」
「いえ、こうしましょう」
奈穂子の夫がガイドの言葉を制した。
「私と10歳の息子が先に乗ります」
奈穂子も同じことを考えていた。
将吾を危険な目にあわせることはできない。
「妻と彼をいったん島に残します。10歳の息子は早く戻したいですから」
「なるほど」
「救命胴衣はありますね?」
「勿論です」
二人乗員が減れば、恐らく救命胴衣も足りるのだろう。
奈穂子はそんなことを想像した。
「奈穂子、大丈夫だよな」
「私もそう考えていたわ」
「しかし、ガイドさん、妻たちを今日中に連れ戻せますか?」
波が完全に収まっても、奈穂子たちが戻れる時間は夜になるはずだ。
「別のボートが出せないか、今、本島で調整中です」
「それは助かります」
「最悪夜になっても、波が問題なければボートは動かせますから」
夕闇が濃くなってきた。
ガイドは一刻も早く出発したいようだった。
「では参りましょうか」
夫と息子、そして他のツアー客が、揃いの救命胴衣を装着した。
波はもうほとんど荒れていない。
午前に来る時のほうが高かったように思える。
だが、万全を期すなら、こうしたほうがいいのだろう。
奈穂子は自分に言い聞かせた。
「ママ、お先に!」
陽気にはしゃぐ息子を見つめ、奈穂子は安堵を得た。
「奥様、念のため、予備の無線機を1台置いていきます」
ガイドは将吾に簡単な操作方法を教えた。
「将吾君、後は頼むぞ」
夫の言葉に、奈穂子は強気に返した。
「まるで私が子供みたい」
やがて、ボートが島を離れた。
薄闇の中、すっかり穏やかになった海をボートが快調に滑り出す。
将吾は見えなくなるまで、奈穂子の息子と手を振りあっていた。
「行っちゃったわ」
ぽつりと漏らした奈穂子に、将吾が言った。
「すぐ僕たちのボートも来ますよ、この波なら」
「そうね」
二人は砂浜に置かれたデッキチェアに座り、暮れていく海を見つめた。
遠方の空から再び雲が忍び寄っている。