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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第16章 奈穂子~無人島での出来事
無人島に夜が訪れた。

水平線に沈んだ太陽の光は、もはやどこにもない。

闇に包まれた砂浜に、打ち寄せる波の音だけが響く。

「将吾君、ほら、星よ」

「あっ、ほんとだ」

デッキチェアに座りながら、奈穂子は夜空に輝き始めた星を指差した。

「奈穂子さん、星なんか久しぶりに見ましたよ」

「ほんとね。私もよ」

嵐で濡れたタンクトップとショートパンツは、既に乾いている。

心地よい涼しさを感じながら、奈穂子は沖に光る本島の灯りを見つめた。

将吾はトランクスタイプの水着にTシャツという格好だ。

ボートが出発して1時間が経過しようとしている。

代わりのボートがこちらに向かってくる気配はまるでない。

気のせいか、本島の灯りがちらちらと揺れ始めた。

「どうしたのかしら」

奈穂子がかすかな不安を感じた時だった。

砂浜に置いた無線機が激しく音を立てた。

「将吾君!」

奈穂子は傍らにいる大学生にすがった。

将吾は椅子から勢いよく立ち上がり、素早く無線機を握った。

「はい・・・・、あっ、そうですか、それはよかったです」

笑みを浮かべた将吾が、奈穂子にささやいた。

「奈穂子さん、ボート、本島に無事着いたそうですよ」

「よかったわ・・・・」

将吾は再び無線機をつかみ、会話を続けた。

「えっ、そうなんですか?」

安堵もつかの間、奈穂子は別の不安を予感した。

「将吾君、私に代わって」

奈穂子は思わず立ち上がり、将吾から無線機を奪った。

「奥様ですか?」

ガイドの声は、やや狼狽しているように聞こえた。

「奥様、実は別のスコールが近づいているようなんです」

「えっ、またですか?」

「波が再び高くなってきてるんですが、そちらでわかりますか」

奈穂子は、闇の中に広がる海を凝視した。

「暗いですから・・・・、でも・・・・」

奈穂子は耳を澄ました。

いつしか、波の音は再び荒れ狂う気配を含み始めていた。

「奈穂子さん、雨だ」

将吾が不安げに漏らしたのと同時に、無線機から奈穂子の夫の声が届いた。

「奈穂子、聞こえるかな」

「ええ」

「スコールのせいで、波がまたひどくなるらしいんだ」

「最悪ね・・・・」

大粒の雨が、空から落ちてきた。

「奈穂子さん、急いで。濡れちゃいますよ」

奈穂子は将吾に誘導され、小走りで岩場の下に逃げた。
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