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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第17章 千鶴~相撲部屋の美しき女将
「同年代に敵はいませんでした」

女将の熱い視線を感じながら、鉄平ははっきり言った。

事実だった。

鉄平の故郷は中国地方の田舎だ。

中学相撲で県代表にまで上り詰め、全国大会でもベスト8に勝ち残った。

筋肉質の体つきを生かした速攻には、それなりの自負がある。

勿論、それが大相撲の世界ですぐに通じるわけはないのだが。

「その自信、忘れるなや」

たばこをもみ消しながら、親方が太い声で鉄平に言った。

鉄平は思わず背筋を伸ばした。

「この世界はな、自分を信じるものだけが生き残れる」

「はい・・・」

「いくら実力があっても、自分を信じることができなければそれまでよ」

熱く語るその口調には、親方自身の体験がにじみ出ているようだった。

その隣で、女将は母親のような笑みを浮かべ、鉄平を見つめ続けている。

「四股名はもう決めてある」

親方の言葉に、鉄平は鼓動を高めた。

「浦松だ。どうだ?」

苗字と同じであるが、そんなことはこの世界では当たり前である。

「ありがとうございます。浦松の名を汚さぬよう、精一杯精進します」

「へっ。まるで大関昇進したときみたいな挨拶ぬかしやがって」

親方はまんざらでもなさそうに笑った。

「明日から早速稽古だ。この部屋には若手が大勢いるぞ」

親方の言葉に、鉄平は再び緊張を高めた。

年齢は関係ない。

全てのライバルに、俺は勝たねばならない。

「兄弟子がこれからいろいろ教えてくれる」

「よろしくお願いします」

「そして、女将もな」

鉄平は女将に向かって、少し恥ずかし気に頭を下げた。

「どうだ、きれいな女将だろう」

親方のからかうような言葉に、鉄平は思わず顔を赤らめた。

「惚れたか」

「えっ・・・・」

「すぐにそんな気分は吹き飛ぶからね。覚悟しなさい、浦松」

女将は笑みを浮かべながらも、はっきり鉄平に通告した。

そして、鉄平は部屋を辞去した。

いよいよだ。

鉄平は目頭に熱いものを感じながら、顔をあげた。

遠い故郷の家族。

そして、一人の女性。

彼らの為にも、何としても関取にならねばならない。

浦松鉄平の青春の日々が、今ここに始まった。

「おい、いいやつが入ってきたな」

「ええ」

「あれはひょっとして、ものになるかもしれん」

親方と女将が語り合う声は、鉄平には聞こえていない。
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