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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第17章 千鶴~相撲部屋の美しき女将
浦松の名に恥じぬよう精進する。
その言葉に嘘はなかった。
鉄平は両親、そして2つ上の兄と共に育った。
昔から体を動かすのが好きで、運動会のヒーロー。
小学校の頃、既に宙返りができた。
そんな鉄平の憧れの存在が、祖父、浦松清五郎だった。
清五郎はその昔、大相撲の世界で夢を賭けたという人物だった。
だが、残念ながら最高位は三段目。
幕下にさえあがることができず、夢半ばで引退した。
「鉄平、ほれ、一勝負するか」
祖父の家に行き、土の庭で相撲をとることが、鉄平の幼い頃からの楽しみだった。
力士になる。
それは祖父から孫に託された夢でもあった。
中学進学後、祖父の指導で急速に力をつけた鉄平。
最高学年のとき、全国大会のベスト8にまで上り詰める。
「じいちゃんよ、中学出たら俺、相撲取りになる」
鉄平が決意を述べたとき、祖父はただうなずき、孫の手を強く握った。
祖父の目に溢れる涙に気づかぬふりをして、鉄平は言ったものだ。
「じいちゃんの夢を果たす。俺は必ず関取になってみせる」
「鉄平、土の匂いがする力士になるんじゃ」
「えっ?」
「土にまみれてまみれて、またまみれて這い上がってこい。それぐらいの覚悟がなきゃ、関取になんぞなれんわ」
「わかったよ、じいちゃん」
祖父と固く交わした約束。
中学卒業後に角界に飛び込むという決意は、鉄平の両親を勿論困惑させた。
せめて高校は出ろと訴えた父親。
大泣きして反対した母親。
そんなとき、鉄平の側に立ってくれたのが兄、良平だった。
「鉄平ももう大人だ。それを認めてやらないと」
「しかしだな・・・・」
「勉強は俺が引き受ける。弟には好きなことをやらせたいんだ」
良平は昔から体が弱く、運動も苦手だった。
反面、勉強は得意で、進学校に在籍する今もトップクラスの成績だ。
昔から弟のことをどこかでうらやみ、そして守ってくれた兄。
最後には両親が折れた。
「ただし3年だ。それで芽が出なかったらきっぱりあきらめて帰ってこい。大検を受けて進学してもらう。いいな」
父親が差し出した誓約書に、鉄平は血判を押した。
これで故郷の応援体勢は整った。
あとは俺がやるだけ・・・・
いや、鉄平、まだ早い。
故郷にはもう一人、鉄平にすがりつく人間がいた。
その言葉に嘘はなかった。
鉄平は両親、そして2つ上の兄と共に育った。
昔から体を動かすのが好きで、運動会のヒーロー。
小学校の頃、既に宙返りができた。
そんな鉄平の憧れの存在が、祖父、浦松清五郎だった。
清五郎はその昔、大相撲の世界で夢を賭けたという人物だった。
だが、残念ながら最高位は三段目。
幕下にさえあがることができず、夢半ばで引退した。
「鉄平、ほれ、一勝負するか」
祖父の家に行き、土の庭で相撲をとることが、鉄平の幼い頃からの楽しみだった。
力士になる。
それは祖父から孫に託された夢でもあった。
中学進学後、祖父の指導で急速に力をつけた鉄平。
最高学年のとき、全国大会のベスト8にまで上り詰める。
「じいちゃんよ、中学出たら俺、相撲取りになる」
鉄平が決意を述べたとき、祖父はただうなずき、孫の手を強く握った。
祖父の目に溢れる涙に気づかぬふりをして、鉄平は言ったものだ。
「じいちゃんの夢を果たす。俺は必ず関取になってみせる」
「鉄平、土の匂いがする力士になるんじゃ」
「えっ?」
「土にまみれてまみれて、またまみれて這い上がってこい。それぐらいの覚悟がなきゃ、関取になんぞなれんわ」
「わかったよ、じいちゃん」
祖父と固く交わした約束。
中学卒業後に角界に飛び込むという決意は、鉄平の両親を勿論困惑させた。
せめて高校は出ろと訴えた父親。
大泣きして反対した母親。
そんなとき、鉄平の側に立ってくれたのが兄、良平だった。
「鉄平ももう大人だ。それを認めてやらないと」
「しかしだな・・・・」
「勉強は俺が引き受ける。弟には好きなことをやらせたいんだ」
良平は昔から体が弱く、運動も苦手だった。
反面、勉強は得意で、進学校に在籍する今もトップクラスの成績だ。
昔から弟のことをどこかでうらやみ、そして守ってくれた兄。
最後には両親が折れた。
「ただし3年だ。それで芽が出なかったらきっぱりあきらめて帰ってこい。大検を受けて進学してもらう。いいな」
父親が差し出した誓約書に、鉄平は血判を押した。
これで故郷の応援体勢は整った。
あとは俺がやるだけ・・・・
いや、鉄平、まだ早い。
故郷にはもう一人、鉄平にすがりつく人間がいた。