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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第17章 千鶴~相撲部屋の美しき女将
「柿本も悪い子じゃないわ」

「そうでしょうか」

女将さんをあんな風に言うなんて、絶対に許せない。

だが、鉄平はそんな怒りをうまく言葉にすることができない。

「女将業は大変。女には目がない年頃の子供たちばかりでしょう。私、昔は会社のOLだったのよ」

「知ってます」

「縁あって親方と結婚して人生が一変したの。でも、これも運命って、今は楽しんでる」

「・・・・」

「息子たちが強い力士になっていくのをすぐそばで見るなんて経験、他ではできませんからね」

色っぽい女将の横顔が、鉄平の鼓動を高鳴らせている。

「浦松は信じたの?」

「えっ?」

「前相撲に勝ったら私が何かしてくれるって」

「そ、それは・・・・」

恥ずかしがる鉄平を、女将が見つめた。

「浦松、強くなるんです」

「女将さん・・・・」

「うんと強くなって、私を惚れさせるぐらいの力士になりなさい」

「女将さんを惚れさせる?」

「この世界は年齢も学歴も関係ありませんよ。強いかどうか。全ての価値はそこで決まるわ。女将が惚れるぐらいに強い、立派な力士になるんです」

そうだ、強くなるために、俺はここに来たんだ。

こんなところで負けてたまるか。

「私は褒美なんかあげませんけど」

少し失望した様子の鉄平の手を、女将はそっと握った。

「でも、浦松が強くなったら、私から言い寄るかもしれないわね」

「・・・・」

「女将だって女なんだから」

いたずらっぽく笑った後、女将は鉄平の頬に軽くキスをした。

鉄平は全身を硬直させた。

「戻るわよ」

立ち上がった女将は、何事もなかったかのように歩き出す。

「浦松、私を乗せていきなさい」

「二人乗りですか?」

「警察に見つかったら、私が誘惑したって言うから」

女将に指示されるがまま、鉄平は自転車にまたがった。

「浦松、さあ、出発!」

横を向いて荷台に座った女将が、鉄平の体にしがみつく。

鉄平は、走ってきたとき以上の汗をかきながら、懸命にペダルをこぎ始めた。

女将の温かい体が背中に密着してくる。

「部屋に戻れば厳しい女将に戻りますよ」

「覚悟してます」

「いつになるかしらね。次、こんな風に自転車に一緒に乗るのは」

女将の言葉を聞きながら鉄平は誓った。

絶対に強くなって見せる、と。

女将にキスされた頬が、火傷するほどに熱い。
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