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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第17章 千鶴~相撲部屋の美しき女将
筋トレ室に駆けこんだ鉄平は、目についた器具に飛びついた。

そして、廊下を背にし、黙々とトレーニングを始めた。

隣の部屋で一瞬、目撃した光景。

見間違いだろう・・・・

いや違う。

見間違いなんかじゃない・・・・

下半身が、爆発するほどに硬くなっている。

覗き見てしまった光景が、鉄平のそれをそんな風にさせていた。

高鳴る鼓動が治まらない。

いつも以上に汗が流れる。

静まりかえったトレーニングルーム。

もう隣の部屋からの意味深な声が聞こえてくることはなかった。

鉄平の息遣いだけが、室内に漂っている。

「浦松、相変わらずやってるわね」

背後から声がかかったとき、鉄平はすぐ振り向く勇気がなかった。

しばらくの静寂。

筋トレ室に誰か入ってきた。

それでも鉄平はバーベルを持ち上げ続けた。

「出かけなかったの、浦松は?」

鉄平はトレーニングをやめ、汗を浮かべたまま、振り向いた。

「俺はこっちのほうが好きですから」

「そう」

鉄平の言葉に、女将さんは静かに笑った。

いつもようにシャツにデニムというラフな格好だ。

相変わらずスタイルがいい。

服も乱れてなければ、黒髪も美しく束ねられている。

美しく、緊張感漂ういつもの女将さんの姿だ。

「兄弟子とたまには遊びにいけばいいじゃない」

鉄平は感じた。

女将さんは、柿本たちが、女性の躰を求めて歓楽街に繰り出していることを知っているのだ、と。

「俺は・・・・、その・・・・」

言いたいことはあったが、鉄平は女将にそれをうまく伝えることができない。

「さっきからトレーニングしてるの?」

女将が何かを詮索しているようで、鉄平は言葉に詰まった。

「ずっといたの、ここに?」

「いえ、今来たばかりです」

「そっか」

女将は少し緊張を緩め、鉄平を見つめた。

一瞬、あの夜の女将が帰ってきたような気がした。

だが、すぐに女将は厳しい口調で言った。

「浦松、いよいよですね」

「はい」

「あと3場所、春までに関取になりなさい」

「女将さん・・・・」

「私との約束を早く果たしなさい。いいわね」

立ち尽くす鉄平を置いたまま、女将は部屋を出て言った。

「私との約束・・・・」

鉄平は再びバーベルを持ち上げ、激しいトレーニングを開始した。

鉄平にとっての大勝負が始まろうとしていた。
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