この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第17章 千鶴~相撲部屋の美しき女将
「春場所千秋楽、幕の内は既に優勝が決まっていますが、北の峰さん、幕下は盛り上がってきました」
話題を振られ、放送席に座る元横綱の解説者は体を揺すった。
「面白いねえ。幕の内も少しは見習ってもらいたい」
「幕下の千秋楽の状況をこちらで整理しますと」
手作りのボードが画面に映し出される。
「優勝争いは3人に絞られています。磯野川部屋の柿本、西幕下10枚目、同じ磯野川部屋の浦松、東幕下15枚目、更にもう一人、モンゴル出身の岩野竜、東幕下筆頭」
「この3人が6戦負けなしか」
「今日、千秋楽の取り組みはこうなります。浦松は既に1敗している陸奥の風と、そして幕下最後の一番で柿本と岩野竜がぶつかります」
「浦松が勝てば優勝決定戦」
「浦松は同部屋の柿本とは勿論、岩野竜とも対戦していません。決定戦で当たるとなれば、どちらとやるにせよ、初顔となります」
「世間では岩野竜が有名みたいですけどね」
解説の北の峰のつぶやきに、アナウンサーが答える。
「岩野竜はモンゴル出身。デビュー以来破竹の勢いで昇進してきました。今日の結果はどうあれ、来場所の十両昇進は決定的」
「たいしたもんですよ、それはね。ただ、私は浦松が昔から気になってるんだな」
「浦松は18歳。中学卒業してこの世界に入ったという今では珍しい力士です。まだまだ細い体ですが、相撲っぷりは力強いですね」
「私はね、3年前、彼の前相撲をたまたま見ていてね」
「ほう」
「土俵際で見事な逆転のすくい投げを食らわせたんだ。あの下半身はただもんじゃあないと思ったんだが。遂に出てきたねえ」
「こちらが北の峰さんご推薦の浦松です。筋肉質で精悍な顔つきは、往年の大横綱を彷彿させるという声もありますが」
画面に高々と足をあげて四股を踏む浦松の写真が映し出された。
「柿本も同じ部屋の苦労人ですがね。私は浦松と岩野竜の激突を是非見たいね」
「さあ、いよいよその浦松が土俵にあがります」
テレビの前で大歓声があがった。
「鉄平、行け!!」
そう叫ぶ剛田のそばで、鉄平の両親と兄が緊張した表情で座っている。
鉄平の祖父、清五郎の自宅に集まった地元の応援団。
腕を組んだ清五郎は、姿勢を崩すことなく画面を見つめている。
そして・・・・。
「鉄平君、勝って・・・・」
一番前に陣取った若葉が、祈るように手を組んだ。
話題を振られ、放送席に座る元横綱の解説者は体を揺すった。
「面白いねえ。幕の内も少しは見習ってもらいたい」
「幕下の千秋楽の状況をこちらで整理しますと」
手作りのボードが画面に映し出される。
「優勝争いは3人に絞られています。磯野川部屋の柿本、西幕下10枚目、同じ磯野川部屋の浦松、東幕下15枚目、更にもう一人、モンゴル出身の岩野竜、東幕下筆頭」
「この3人が6戦負けなしか」
「今日、千秋楽の取り組みはこうなります。浦松は既に1敗している陸奥の風と、そして幕下最後の一番で柿本と岩野竜がぶつかります」
「浦松が勝てば優勝決定戦」
「浦松は同部屋の柿本とは勿論、岩野竜とも対戦していません。決定戦で当たるとなれば、どちらとやるにせよ、初顔となります」
「世間では岩野竜が有名みたいですけどね」
解説の北の峰のつぶやきに、アナウンサーが答える。
「岩野竜はモンゴル出身。デビュー以来破竹の勢いで昇進してきました。今日の結果はどうあれ、来場所の十両昇進は決定的」
「たいしたもんですよ、それはね。ただ、私は浦松が昔から気になってるんだな」
「浦松は18歳。中学卒業してこの世界に入ったという今では珍しい力士です。まだまだ細い体ですが、相撲っぷりは力強いですね」
「私はね、3年前、彼の前相撲をたまたま見ていてね」
「ほう」
「土俵際で見事な逆転のすくい投げを食らわせたんだ。あの下半身はただもんじゃあないと思ったんだが。遂に出てきたねえ」
「こちらが北の峰さんご推薦の浦松です。筋肉質で精悍な顔つきは、往年の大横綱を彷彿させるという声もありますが」
画面に高々と足をあげて四股を踏む浦松の写真が映し出された。
「柿本も同じ部屋の苦労人ですがね。私は浦松と岩野竜の激突を是非見たいね」
「さあ、いよいよその浦松が土俵にあがります」
テレビの前で大歓声があがった。
「鉄平、行け!!」
そう叫ぶ剛田のそばで、鉄平の両親と兄が緊張した表情で座っている。
鉄平の祖父、清五郎の自宅に集まった地元の応援団。
腕を組んだ清五郎は、姿勢を崩すことなく画面を見つめている。
そして・・・・。
「鉄平君、勝って・・・・」
一番前に陣取った若葉が、祈るように手を組んだ。