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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第17章 千鶴~相撲部屋の美しき女将
「幕下優勝決定戦は十両の全取り組みが終わってすぐだ!」
支度部屋で誰かが叫んだ。
まげを整えた鉄平は、目を閉じて座り続けている。
兄弟子の柿本が、岩野竜に土俵下まで吹っ飛ばされた。
どうしたら勝てる・・・・
上背にそれほど差はないが、岩野竜の体重は130キロ近くだ。
モンゴル力士らしからぬ、一気に前に出て相手を粉砕する相撲。
下半身がややもろい印象もあるが、力強さがそれを十分すぎるほど補っている。
モンゴルの草原で祖父に育て上げられたという岩野竜。
目を閉じたまま、鉄平は故郷を思い出した。
土の匂いがする力士になれ。
祖父、清五郎の言葉を繰り返し、鉄平は懸命に勝機を探った。
わからない・・・・
目を開けた鉄平は、答えを探すかのようにてっぽう柱に向かった。
柱を押しながら、鉄平は考え続けた。
どうしたら勝てる、どうしたら・・・・
そのとき、鉄平はふと鋭い視線を感じ、動きを止めた。
少し離れた場所から、柿本が厳しい表情でこちらを見ている。
岩野竜に負けた悔しさが、兄弟子の全身から湧き上がっていた。
「柿本さん、お疲れ様でした」
歩み寄った鉄平の言葉に、柿本は不満げに息を吐いた。
「浦松、お前が勝てる相手じゃねえ」
そう吐き捨てた後、柿本は鉄平をにらみつけた。
「お前を先に関取にさせるわけにはいかない」
鉄平が優勝するようなことがあれば、来場所一気に十両昇進の可能性も出てくる。
柿本は勿論それを知っている。
「お前じゃ勝てねえよ、岩野竜には」
柿本はもう一度そう言うと、巨体を揺すって立ち上がり、支度部屋を出ていった。
俺の相撲をとればいいんだ・・・・
柿本の後ろ姿を見つめ、鉄平はようやくそれに気づいた。
「おい、浦松、出番だ!」
支度部屋に声が響いた。
鉄平は最後に柱にぶち当たり、頬を強く叩いた。
やってやる・・・・
支度部屋を出て、花道の奥に立つ。
館内から湧き上がる大歓声と拍手。
視線の先に土俵が見える。
鉄平は歩き始めた。
厳しい稽古に明け暮れた3年の日々が脳裏をよぎる。
東西の花道を進んでいく幕下力士二人に、場内満員の客から声が飛んだ。
「岩野竜!」
相手力士への声援が目立つ中、鉄平は確かに聞いた。
「浦松、勝って!」
女将さん・・・・
鉄平は最高潮にまで気合を入れた。
支度部屋で誰かが叫んだ。
まげを整えた鉄平は、目を閉じて座り続けている。
兄弟子の柿本が、岩野竜に土俵下まで吹っ飛ばされた。
どうしたら勝てる・・・・
上背にそれほど差はないが、岩野竜の体重は130キロ近くだ。
モンゴル力士らしからぬ、一気に前に出て相手を粉砕する相撲。
下半身がややもろい印象もあるが、力強さがそれを十分すぎるほど補っている。
モンゴルの草原で祖父に育て上げられたという岩野竜。
目を閉じたまま、鉄平は故郷を思い出した。
土の匂いがする力士になれ。
祖父、清五郎の言葉を繰り返し、鉄平は懸命に勝機を探った。
わからない・・・・
目を開けた鉄平は、答えを探すかのようにてっぽう柱に向かった。
柱を押しながら、鉄平は考え続けた。
どうしたら勝てる、どうしたら・・・・
そのとき、鉄平はふと鋭い視線を感じ、動きを止めた。
少し離れた場所から、柿本が厳しい表情でこちらを見ている。
岩野竜に負けた悔しさが、兄弟子の全身から湧き上がっていた。
「柿本さん、お疲れ様でした」
歩み寄った鉄平の言葉に、柿本は不満げに息を吐いた。
「浦松、お前が勝てる相手じゃねえ」
そう吐き捨てた後、柿本は鉄平をにらみつけた。
「お前を先に関取にさせるわけにはいかない」
鉄平が優勝するようなことがあれば、来場所一気に十両昇進の可能性も出てくる。
柿本は勿論それを知っている。
「お前じゃ勝てねえよ、岩野竜には」
柿本はもう一度そう言うと、巨体を揺すって立ち上がり、支度部屋を出ていった。
俺の相撲をとればいいんだ・・・・
柿本の後ろ姿を見つめ、鉄平はようやくそれに気づいた。
「おい、浦松、出番だ!」
支度部屋に声が響いた。
鉄平は最後に柱にぶち当たり、頬を強く叩いた。
やってやる・・・・
支度部屋を出て、花道の奥に立つ。
館内から湧き上がる大歓声と拍手。
視線の先に土俵が見える。
鉄平は歩き始めた。
厳しい稽古に明け暮れた3年の日々が脳裏をよぎる。
東西の花道を進んでいく幕下力士二人に、場内満員の客から声が飛んだ。
「岩野竜!」
相手力士への声援が目立つ中、鉄平は確かに聞いた。
「浦松、勝って!」
女将さん・・・・
鉄平は最高潮にまで気合を入れた。