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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第17章 千鶴~相撲部屋の美しき女将
「北の峰さん、幕下優勝決定戦は期待通りの一番になりました」
「幕内が決まっているだけにね。今日の一番の楽しみはこれかねえ」
「お客様もそれを感じているのでしょうか。お聞きください、土俵にあがった両力士を大歓声が迎えてます」
「二人ともこんなのは初めてでしょう」
おかしそうに笑いながら解説をする元大横綱が、興味深そうに身を乗り出す。
「さあ北の峰さん、この一番、順当に考えればやはり岩野竜有利でしょうか」
「本チャンの柿本との相撲を見ればね、岩野竜のあの当たりは幕下とは思えない」
「それを細い浦松がどう食い止めるか」
「簡単じゃないだろうね」
土俵で対峙した両力士が、鋭い視線でにらみあいながら四股を踏みあう。
両足が一直線になるほどに高々と左足をあげ、見事な四股を踏む浦松。
場内が驚いたようにどよめき、口笛や拍手が続く。
「北の峰さん、浦松に勝機があるとすれば」
「立ち合いで岩野竜に食い下がって、持ち前の下半身で粘り、最後に投げるか」
「岩野竜の弱点は下半身だという声もあります」
「そこでしょうな、浦松が狙うとすれば」
故郷のテレビ前では、皆が画面を見つめていた。
「鉄平、いけ!」
剛田の叫びに続き、皆が鉄平の名を連呼し、手拍子で盛り上げていく。
だが、そこには何とも言えぬ緊張感が漂っていた。
岩野竜に勝つのは難しい。
皆、それを感じているのだ。
「じいちゃん、どうだい、鉄平の目は」
鉄平の兄が、祖父、清五郎に訊いた。
「あいつはいい目をしとる。ただ」
「ただ?」
「相手も同じじゃ」
鉄平の兄は、画面に映る岩野竜を見た。
祖父が指摘した通り、彼はモンゴル草原の野獣のような目で鉄平を見つめている。
「この勝負、簡単じゃなかろう」
テレビのすぐ前では、若葉が泣きそうな顔で手を組んでいる。
「鉄平君、頑張って・・・・」
幕下の対戦では塩をまくこともなく、すぐに時間となる。
場内の歓声が最高潮に達し、そして緊張の入り混じった静寂が訪れた。
千秋楽後の部屋パーティ準備が進む会場を脱け出し、千鶴はこの館内にやってきた。
美しい女将は土俵を見つめ、そして、祈った。
「浦松、勝つんです・・・・」
まだ裸足の若い行司の軍配が返った。
「はっけよい、のこった!」
3年越しの夢に向かって、鉄平が突っ込んでいった。
「幕内が決まっているだけにね。今日の一番の楽しみはこれかねえ」
「お客様もそれを感じているのでしょうか。お聞きください、土俵にあがった両力士を大歓声が迎えてます」
「二人ともこんなのは初めてでしょう」
おかしそうに笑いながら解説をする元大横綱が、興味深そうに身を乗り出す。
「さあ北の峰さん、この一番、順当に考えればやはり岩野竜有利でしょうか」
「本チャンの柿本との相撲を見ればね、岩野竜のあの当たりは幕下とは思えない」
「それを細い浦松がどう食い止めるか」
「簡単じゃないだろうね」
土俵で対峙した両力士が、鋭い視線でにらみあいながら四股を踏みあう。
両足が一直線になるほどに高々と左足をあげ、見事な四股を踏む浦松。
場内が驚いたようにどよめき、口笛や拍手が続く。
「北の峰さん、浦松に勝機があるとすれば」
「立ち合いで岩野竜に食い下がって、持ち前の下半身で粘り、最後に投げるか」
「岩野竜の弱点は下半身だという声もあります」
「そこでしょうな、浦松が狙うとすれば」
故郷のテレビ前では、皆が画面を見つめていた。
「鉄平、いけ!」
剛田の叫びに続き、皆が鉄平の名を連呼し、手拍子で盛り上げていく。
だが、そこには何とも言えぬ緊張感が漂っていた。
岩野竜に勝つのは難しい。
皆、それを感じているのだ。
「じいちゃん、どうだい、鉄平の目は」
鉄平の兄が、祖父、清五郎に訊いた。
「あいつはいい目をしとる。ただ」
「ただ?」
「相手も同じじゃ」
鉄平の兄は、画面に映る岩野竜を見た。
祖父が指摘した通り、彼はモンゴル草原の野獣のような目で鉄平を見つめている。
「この勝負、簡単じゃなかろう」
テレビのすぐ前では、若葉が泣きそうな顔で手を組んでいる。
「鉄平君、頑張って・・・・」
幕下の対戦では塩をまくこともなく、すぐに時間となる。
場内の歓声が最高潮に達し、そして緊張の入り混じった静寂が訪れた。
千秋楽後の部屋パーティ準備が進む会場を脱け出し、千鶴はこの館内にやってきた。
美しい女将は土俵を見つめ、そして、祈った。
「浦松、勝つんです・・・・」
まだ裸足の若い行司の軍配が返った。
「はっけよい、のこった!」
3年越しの夢に向かって、鉄平が突っ込んでいった。