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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第21章 希実子〜診察室の女医
「最近、体調で気になる点はありますか」

机上の書類を見つめたまま、女医は西崎にそう聞いた。

「ちょっと疲れやすくなったみたいです」

「どんな風に?」

医師は初めて西崎を見つめた。

「朝起きれないとか、帰宅してすぐ横になるとか」

「食欲は?」

「ありますが、胃腸の調子もおかしくて」

「便秘、それとも下痢?」

年下の女性医師は、表情を崩すことなく、西崎に質問を繰り返す。

「何となくお腹が張る感じが・・・」

「他には何かありますか」

「いえ、あとは特に・・・」

もう一度書面を見つめ、医師は机の前に何枚かの写真を掲げた。

「こちらが胸部レントゲン、それと胃のバリウム・・・。これから精査しますが、初見では問題なしと報告が来てます」

西崎はわずかな安堵を感じた。

「こちらが血液検査・・・、異常値は・・・ないですね。肝機能も正常です」

「そうですか・・・」

「特に悪いところは今回もありませんね。ご安心ください」

緊張から解放された西崎だが、体調がどこかすぐれないことがやはり気になった。

「皆さんそうですよ」

依然として硬い表情のまま、女医は彼に向かって言った。

「更年期と言ってしまっていいかもしれませんが」

「更年期、ですか」

「会社でも家庭でも大変な世代ですから。どこかおかしくなって当たり前、くらいに楽に考えてください」

何枚かの書類を揃え、彼女はもう一度西崎のことを見つめた。

「では最後に診察しましょうか」

例年と同じ流れだった。

西崎は聴診器を上半身にあてられ、目、喉を調べられた。

「ベッドに行ってください」

ベッドに横になった彼は、彼女に簡単に腹部のあたりを触診された。

「問題ないですね」

服を整えた後、西崎は再び椅子に座った。

「検診結果の送り先は今年も会社でいいですか?」

「はい」

「ではこれで終わりです。お疲れ様でした」

全てが終了し、西崎は椅子から立ちあがろうとした。

だが、どういうわけか、まだ言い残したことがあるような気がする。

「どうしましたか?」

書面にペンを走らせながら、女医は彼に聞いた。

「先生、あの、申し上げにくいことなんですが」

「気になることがあればどうぞ」

視線を合わせようとしない女医の横顔を見つめながら、彼は言った。

「最近、あれができなくなったんです」
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