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最後まで
第11章 ―シオン―
当時、シオンは戦火を必死に逃れ病気がち母親を連れて雨風がやっと凌げる瓦礫の側に身を寄せていた。


※※※※※※※※※※


「おぃ、あそこ」

銃を脇に歩いていた兵が、ある瓦礫の一角を指差した。

「ん?あれは…」

声を掛けられた仲間は、そこに出入りするシオンがいた。

「ああ、後で訪問してやるか。」

ニヤリとすると、見回りに立ち去った。




「お母さん。少し、待ってて。」

「また、行くのかい?すまないね…。わたしがもっと元気だったら…。」

ヨロッとふらつきながら、シオンの母親は、身体を起こす。

「言わない約束でしょ?若い者が働くのが当たり前!」

シオンはニッコリ笑うと、厚手のフードつきコートを羽織った。

「じゃ、すぐ戻るから!」

そう言って瓦礫を後にした。

「無事に帰ってきて…」

母親は祈るようにシオンの背中を見送った。
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