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最後まで
第11章 ―シオン―
「シオン…」
母親は手を胸の辺りで組みシオンが入って来るだろう隙間を見つめていた。
暫くして、日を遮る人影が見えた。
「シオン!」
―無事でよかった!
そう思い娘を出迎えようと、身を乗り出した時、母親の身体は止まった。
そこから入って来たのは、銃を構えた敵兵だったのだ。
「あ…あ…」
―見つかった!殺される!!
こうなると母親の願いは一変。
―どうか!シオン、帰って来ないで!!
自分はすぐに天に召される。
だけど娘だけは…!!
母親は撃たれると覚悟し、目を閉じた。
ところが、兵は一向に自分を殺さない。
恐る恐る目を開けると、ニヤニヤと厭らしい笑みを向けている。