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最後まで
第12章 ―イツル―
「そこの両親に産まれましたが、残念ながら直ぐに亡くなってしまいました。」
村長は丁度控えていたイツルの両親を差し恭しく頭を下げた。
「むぅ。本当か?」
領主は眉をあげ、村長を睨む。
「はい。運悪く母親の乳の出が悪く…」
村長は慌てず、残念そうに頷いた。
「そうか…ならば、仕方あるまい。次からは、産まれたら直ぐに差し出せ。その様な事の無いように監視をつける。」
領主は信じていないようだ。
領主が村から去ったあと、村長の屋敷の奥でイツルの両親は泣き崩れた。