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第1章 一人目
「ジル、どう思う?」

「この子はいい母体になりそうだ。」

朦朧とする意識の中、彼らの声が聞こえる。

まるで水の中にいるかの様にくぐもって聞き取りづらい。

―なに?何を言っているの?

「あふっ…んあぅ…」

ピチャピチャッ

自分の声も卑猥な音も、彼らの声の邪魔をしてわたしに届かなくしている。

ヌルン

「ひっ」

何かがわたしに入ってきた。
暴れる指はそのままで、何かが中でうねる。

わたしの下腹部で、いつの間にかジルが長い舌を出している。

改めて彼らはわたしの知る『人』ではないと思い知った。

ジルの目は赤黒く変色し、光を失っている。

その虚ろな目と目があった。

ニタリ

口角が耳まで裂け引き上がる。

―恐い

蛇の様に長くうねる舌は、容赦なくわたしの中をかき混ぜた。

「ひぁぁんっっ」

あるポイントで、感覚が変わった。

―やだっ嫌なのに!

気持ち………いい。

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