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最後まで
第2章 二人目
ジルは涙を乱暴に拭い、顔を上げると空に舞い上がる。

ゆっくりと空中に停止すると、怠慢な動きで両手を広げる。

上空は爽やかな風が彼のローブを撫でる。

足元は毒を含んだどす黒い霧が多い尽くす、嘗ては富と繁栄で賑わった大都市の残骸。

拭ったはずの涙はまだ、止まる気配がない。

ジルは静かに息を吸い込んだ。

「さようなら…」

小さく呟くと、力を解放した。

彼の回りから赤黒い稲妻が迸り、大都市の廃墟に降り注いだ。

やがてその場所は、瓦礫すら残らず何もない平野へと姿を変えていた。

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