この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
最後まで
第4章 三人目
「よっ!ほっ!」
そびえ立つ崖を下から、カモシカのように飛び上がる一つの影。
背中には弓矢が装備されている少女は、慣れた足取りで崖を登っていた。
僅かな足場があれば、少女には難なく登れる。
「へへん」
ある岩場まで上がった少女は、息を殺した。
目の前には一頭の鹿が草を食べている。
気配を殺し、少女は背中から弓矢を引き抜く。
慎重に狙いを定め、弓を引き絞り――――
と、唐突に鹿が物凄い勢いで少女に向かってきた。
「わっちょっっ」
咄嗟に弓を放つが、外れてしまう。
咄嗟に避けることもできず、鹿に突進された。
吹き飛ばされた少女が、最後に見たのは鹿の背後にいる肉食獣だ。
そのまま深い崖へと少女は吸い込まれた。