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第1章 一人目

じっと彼を見ていると、彼は自分で入れたカップに口をつけた。

―なんなんだろう。ただの嫌がらせ?

そう思いながらただ黙って見ていると彼がわたしに覆い被さってきた。

「…!?」

突然の事に身を固くする。

口の中に爽やかな香りと共に僅かに暖かいものが流れてきた。

受け止められなかったものが、わたしの首筋に流れた。

どうやら口移しで紅茶を飲ませてくれたようだ。

「キスは初めてなの?」

鼻先がつく程の距離で彼は微笑んでいた。

コクン

と小さく頷く。

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