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最後まで
第9章 チルドレン
ミルムは一人大浴場にいた。
大抵、ミルムは一人で風呂に入る。
他の者も誘ってくれるのだが、ミルムはいつも断っていた。
広い湯船にゆったりと浸かり、目を閉じて自身の中のシコリを考えていた。
―なにかを忘れている。なんなの…?
靄が掛かった様に虚ろな記憶。
―また、ダメか…。
今日もスッキリしない気持ちで湯船から立ち上がった。
脱衣室に向かおうと振り返ったとき、ミルムは硬直した。
「…久しぶりだね、母さん。」
靄の中の人影が優しげにミルムを呼んだ。
パァァン
その瞬間、ミルムの頭の中の靄が弾けとんだ。
「シ、シュー?」