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Last Kiss
第2章 10年前に死んだヒト
朝、目が覚めて先ず向かったのは昨夜の白い物体がいた場所ーー
ーー全く何も見えなかった、何も…昨日の朝と何も変わりなかった
でも、ロンはまた昨日と同じ場所に座り同じところを見つめる。
「…ロン、また帰ってきたら一緒に見ようね…だから今はごはんだよ」
ロンをそっと撫でてから私は朝の用意を済ませ学校に向かった。
「……それはぜーーったい幽霊!」
「ちょっと止めて…シーーー」
授業が終わり職員室でテストの採点をしながら昨日の晩に起こったことを隣の席に座る長谷川 華子(先生)に話すと叫びだしたので人差し指を見せて静かにさせる。
「朝、見えなかったんでしょ?」
「うん」
「でもロンちゃんは見えてたってことでしょ?」
「そんなのはロンしか分からないじゃん」
「猫には見えて、人間には見えない……幽霊だ、これは幽霊だわ……」