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Last Kiss
第2章 10年前に死んだヒト
もうこうなったら話にならない。横で煩く幽霊だ幽霊だと呟く長谷川さんを無視して仕事を終わらせた。
ーーガチャ
「……た、ただいま…」
"…ぉ…ぇりぃ…"
昨日よりもクリアに聞こえたことで、『おかえり』って言ったのは分かった。日本語が話せるということは、日本人としていいのだろうか。人であっても生きているか死んでいるかは分からない……どっちも怖いか…
「あなたは、…昨日の白い霧?」
白い霧が話せるわけないことは分かってても、自分の身の回りに一気に起こった現象はすべて繋がっているはずだと思った。
でも、私への返事は一向に聞こえてこなかった。待つのをやめ、ロンのいるリビングに向かった。
ーーミャァ~ン
ロンがまた同じところで座っている。そのまま電気を付けず私も昨日のようにロンの隣に並んだ。
…濃くなった、というか…増えた?
昨日より増して白いものが多く漂っていた。
「…ロンさん…これどうなると思う?」
"…ぅ………ょ…ぁ……"
私の思ったとおりに白い霧から何かが聞こえた気がした。