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Last Kiss
第2章 10年前に死んだヒト
職員室の自分の席に座り鞄を開ける。
……えっ、…資料ある……
自分の脳の記憶力を疑った。いつ、どのタイミングで鞄に資料を入れたというのか……
そもそも入れっぱなしだったというのか…いや、でも前確認するときに出したからそれはない気が……
……まぁ、…あればいいか…?
私は難なく今日一日を過ごすことができた。
ーーガチャ
「…お、……おはよう…」
"…おはよう"
…応用力のある霧だと思った。ここで『おかえり』って聞こえたら録音を流す誰かの悪戯かと思うことにしていた。それが1番怖いのだけれど…
昨日よりも幾分綺麗に聞こえるようになった。今晩こそ霧の正体がわかるのだろうか…
ーーミャァ~ンミャン
ロンが寝転がり私を見つめ、また霧がいた方向を見つめ、とキョロキョロしていた。
「ただいまロン、いい子にしてた?」
撫でてやるとロンはゴロゴロ喉を鳴らしている。
"いい子だよ、その子大人しいよね"
ふと、ロンを撫でる手を止める。…なんて?
「…………誰かいるの?」
もしかして、…霧?『おかえり』だけじゃなく…話せるというの?でもあの白い霧は部屋にいない。……電気がついてるから?
私はまた部屋中の電気を次々と消していく。