この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Last Kiss
第3章 あなたを知りたい
私は郁人のことを全然知らないんだなってお風呂に浸かりながら思っていた。
10年前に亡くなった男の人…ただそれだけしか知らない…
今の姿が亡くなった時のままの姿ならば、私とそんなに変わらないくらいの年齢で亡くなった…
でも、幽霊になっても年をとるのならば、もっと若い頃に亡くなったことになる…
いや、もし後方が正しかったとしたら、"結婚"にあんなに傷ついた顔しないと思う…んー、それか親に何か事情があったとか…?
頭の中でグルグル考えをめぐらせて何分経ったか分からない。私は逆上せそうになってお風呂を出た。
水を飲み、服を着て、髪の毛を一気に乾かし、布団に倒れた。ほんとに一気にしないといつ倒れるか分からなかったから少しほっとした。
『……俺の事、考えてた?』
目が閉じかけていた時に、郁人の声が聞こえた。