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Last Kiss
第3章 あなたを知りたい
「…なんで?」
『意識が傾いたから。俺のことを誰かが考えていたり、話してたりしたら分かる。』
「……そうなんだ。」
私は枕に自分の頭を乗せて、掛け布団をかぶり郁人の声を聞いていた。郁人の声、最初は何か分からなくて戸惑ってたけど、いい低さで耳にすんなり入ってくる心地よさに気付いたのは最近のこと。
『…眠たい?』
「ううん、…でも郁人の声聞いて寝たいかも」
『子守唄、歌おっか?』
「ふふっ、それでもいいけど…郁人のこと知りたい、何でもいいから。」
『……つまんないと思うけど』
「私、郁人のこと何も知らないからつまらなくないと思う……何年生まれとか、誕生日だとか…血液型とか…何でもいいから教えて?」
郁人は優しい、…そんなところに付け込んでしまう。教師の立場は頼られる存在だから…甘えられるような場所が欲しかったからかな…?
郁人はその夜、生年月日、血液型、出身地、家族構成を教えてもらった。途中で寝てしまったけど、郁人の声は本当に子守唄のようで心地よかった。
『ふふっ…おやすみ、凛音』