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Last Kiss
第3章 あなたを知りたい
朝、気持ち良く目が覚めてぐーんっと伸びをしたあと、何も見えない所に向かって話しかけるように言葉を発する。
「…1977年8月13日、血液型はB型、一人っ子で………」
『…どこで産まれたでしょうか?』
「……香川?」
『ぶーっ、徳島でした。』
「…ちぇっ、おしいな~」
『おしくもないし、全然違うから』
まぁ、あの夜の夢現の状態からすれば上出来でしょっ!朝の準備を始めた。
あの夜から、毎夜…郁人のことを教えてもらい、私の日課は郁人の声を聞きながら寝ることになった。
「……郁人、郁人は外に出たくないの?」
『…半分半分かな。外に出たらずっとさ迷ってしまう…それが、怖い…』
郁人が怖いという感情を口にしたのは初めてだった。
「…ここに帰ってきたらいいじゃん」
『……行きたいとことか、いっぱいある…知りたいことだって…』
郁人の顔がだんだん強ばっていく…。私は郁人のこと触れやしないけど、体を起こし郁人の手を自分の手で挟もうとした。案の定、私の手の中にはなんの感触もないけれど、それでいい…気持ちが伝われば……