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Last Kiss
第4章 埋めたい過去
監督に少し抜けたいと頼むと雨が降ってきたら絶対帰ってこいと言われた。
俺はAスタに向かって走る。走って走って、まだ雨は降らないでくれって…
だんだん雲が厚くなる。もう少しで着く時だった。
Aスタジオは広い交差点を抜けて少し奥の方に位置する。その交差点で信号待ちをしている時、美優がスタジオから出てくるのが見えた…知らない男と話しながら……
あぁ、そっか…彼氏がいたってことか…
その男と信号待ちをして腕を組み、肩に寄りかかる姿を見るのは辛かった。
…本当に、フラれるんだ…
晋にあんなにライバル意識を持っていた自分が小さかった。
今じゃね、雨降るなら…
そう思えば本当に降ってくるから、俺ってある意味役者向いてそうか…?
でも、…俺は雨に濡れて嘆くより…雨にでも立ち向かって自分を突き進むような奴でいたい。
「………美優!!!」
「…郁人…?」
「…ちょっとだけ時間欲しいんだけど…?」
「いいよ!それよりすごい濡れてる…」
美優は傘を俺に差し出して、隣にいた男に先に行っててと言っていた。