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梨華との秘密
第9章 乱れ咲く縄華
 練っとりとした舌使いで、綺麗にネブルように拭いとっていき、


「綺麗になったな、恵梨香。スケベな舌使いやったで。」


「はい、ご主人様への気持ちを込めました。私、おかしいでしょうか?」


「いや、おかしくはないよ。ただ、お前のなかには、あの男がいるからね。俺は構わないがね。ふふふ、お前の心まで欲しがるのは、欲が深すぎるからな。」


 彼女の素直さの中に隠れているものを、引きずり出す積もりで言ったが、彼女の言葉は俺を驚かせた。


「私の心は、わかりません。でも、彼を愛しています。今夜も彼と会います。けど、私の身体と心の中にご主人様を求める、私がいるんです。私、変ですか?」


「いや、変じゃないよ。それでいいんだよ。それで。」


「えっ、怒らないんですか?ご主人様?」


 今度は恵梨香の思惑が外れたみたいだった。


「あぁ、それが、今の恵梨香だからね。それで良いんだよ。それに、君は彼とは離れられないよ。だから、無理する必要はないんだよ、恵梨香。さあ、中に入ろうか?」


「嬉しい、ご主人様。ありがとうございます。」


 彼女の嬉しそうな返事を聞きながら、軽く頷き車のドアを開けた。
 車を降りホテルの中に入り、部屋を選びエレベーターに乗った。
 恵梨香の腰に手を回し、引き寄せ身体を密着させた。
 彼女の心臓がドクンドクンと脈打ち、緊張が俺に伝わってきた。
 唇に触れようとした瞬間、エレベーターの扉が開いた。
 仕方なく、エレベーターを降り部屋に向かった。
 部屋に入り、ソファーに座り彼女を抱き寄せ、薄いベージュのルージュに触れた。


「ん、んんふ、、」


 彼女の言葉が途中で消え、唇と舌を吸い会う音が、二人の耳に響いた。
 唇が離れ、縄を彼女の目の前に見せながら、


「先に縛ろうか?それとも、お風呂を先にするかね?」


 俺の言葉に、少し考える風に、


「いえ、縛られたまま、お風呂に入りたいです。」


「ふふん、お風呂で虐められたいんや。ふふ、後で泣いても知らんで。」


 彼女の答えを面白いと感じたが、縄が濡れるとどうなるか後で彼女自身が、味わう羽目になることを黙っていた。


「お湯張ってきます。待ってて下さいね。」


「あぁ、逃げやしないよ、恵梨香。」


 浴室に彼女が消えたのを確かめ、俺は小さなバルーンをいくつか用意した。
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