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アネゴ的カノジョ
第9章 剥がれた仮面
 
「んはぁ…はぁっ……はぁっ………」

 卓球スペースの床に横たわる杏子。

「……だから……れねぇ……」

「……た………スよ………」

 再び小さくなっていく職人たちの声に、荒い吐息を溢しながら安堵する。

「何とかバレないで良かったですね」

 まるで他人事のように口を開く助役。

 しかし、今の杏子には、食ってかかる気力は残っていなかった。

 度重なる快楽の波に飲まれ、更には極度の緊張を強いられ、杏子の脳内は混濁していた。


…もう…アタシ……
……これ以上……何かあったら………


 右肩を下にして横たわる杏子のワレメには、依然としてラケットが突き挿さっていた。

 グリップは疎か、そのラバーの部分までもが濡れている。

 見付かるかもしれないと思った瞬間に杏子の脳は真っ白になり、再び盛大に潮を噴き出していたのだった。

「しかし……あれでイっちゃうとは……。
 アンズちゃんは変態の気もあるんですかねぇ」

 ニヤニヤと笑みを浮かべる助役。


…変態……
……昔……タケにも言われたっけ………


 杏子はその言葉を否定する事は出来なかった。

「さ、アンズちゃん…これからですよ」

 過去を思い起こした杏子の汗ばむカラダを、助役の手がゆっくりと撫で回した。
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