この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
アネゴ的カノジョ
第1章 姉と弟
「おーい、そっち頼むわー」
「あいよっ、任せとけぇっ」
「っとぉっ。こっちも頼むぜぇっ」
「そっちは俺がぁ……」
晴天の元に、威勢の良い声が飛び交う。
それと同時に、カンカンと金鎚で釘を打ち付ける音や、木材を切る音が閑静だった住宅街に響き渡る。
「っとぉ、材料足らねぇなぁ………」
タオルで捩り鉢巻きをした男が動きを止めれば、新たな声があがる。
「んじゃ、アタシが持ってくるよっ」
濁声【ダミゴエ】が飛び交う中で、異質な高い声。
明らかに男の声で無い事に、職人たちは動じた素振りを見せない。
「頼んだぜ、キョウちゃん」
「あいよっ。任しときっ」
背中まで伸びたポニーテールを靡かせながら、杏子は建物の中から飛び出した。