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アネゴ的カノジョ
第3章 夜道と水難
「じゃあ、頼むよ」
「よっしゃっ、アタシに任せといてっ」
歯切れ良く了承する杏子。
「いやぁ、悪いねぇ……」
丸いテーブルを挟んだ反対側には、ヨレヨレとしたシャツを着る小太りの中年男性。
「まぁ、しょうがないって」
正座をして申し訳なく頭を下げる男性に、杏子はニカッと白い歯を覗かせる。
「若いので頼れるのはキョウちゃんくらいってのも情けないんだけどねぇ」
「まぁ、この町内もアタシとマサの他には……三人くらいしか若いの居ないもんなぁ……」
「他の親には仕事で忙しいだとか色々理由付けられて………」
「ま、まぁ、アタシに任せてよっ」
項垂れる男性を前に、胡坐をかいて座る杏子は、ドンッと胸を叩く。
「キョウちゃんとは言え、若い女の娘にこんな事頼むのも、町会長として恥ずかしいけど……」
「パパッとやっから気にしなくていいよっ」
何処までもきっぷの良い杏子。
「取り敢えず一人は確保したから、頼りないだろうけどソイツと………」
「あいよっ。じゃ、後で行けば良いんだなっ」
そう言った杏子。
後でと言っておきながら、直ぐさま部屋を飛び出していったのだった。
残された町会長。
正座をした儘、ブラブラと揺れる玄関の扉を見詰めて呟いた。
「……キョウちゃん……。鍵……どうすれば……」