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アネゴ的カノジョ
第3章 夜道と水難
 
 アパートを飛び出した杏子。

 両腕を頭の後ろで組みながら、鼻歌混じりに歩き出す。

「今夜もバッチリ見えるなぁ…」

 見上げれば満天の星空。

 街灯が無くとも、月明かりが行く先を照らす。

 脇を流れる小川のせせらぎに混じって、虫の鳴き声も流れている。

 しかし、小川を越えた遥か先に見える高層ビルたちは、煌びやかに光を放っていた。

「アタシには、アソコは似合わないしムリだなぁ………」

 思わず苦笑を浮かべる杏子だったが、ハッと我に返る。

「いっけね…。余所見してたら、また落っこちるトコだった………」

 気付けば、畦道の端を歩いていた。

 数日前の出来事を思い出し、再び苦笑する。

「でも……。見回りなんて…要るのかよぉ………」

 着の身着のまま飛び出してきた杏子。

 相変わらずの露出が激しい、肩や胸元が露わになったキャミソールに、引き締まった太腿までも露わにさせるジーンズ地のショートパンツ姿。

 歩き出してから十分程度経っても、そんな杏子の姿を誰一人として見ていなかった。
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