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アネゴ的カノジョ
第5章 陽と陰
「何だか、キョウちゃん……様子おかしいよな……」
「今日は空元気って感じだよな……」
「棟梁がこの前、怒りすぎだからじゃねぇの?」
「バカ野郎っ。キョウちゃんは、あれっくらいじゃ屁とも思ってねぇよ」
職人たちの話す声が聞こえる。
「でもよぉ。今日のキョウちゃんは……何てぇかぁ………」
「あ、俺も思ったわ」
「だよな? 何か、何時よりも女っぽいっていうかさぁ……」
胸がドキッとする。
「妙に色気……あるよな?」
「だよな? 今まで妹みたいに思ってたけどよ……。今日のキョウちゃん見てると………」
一人の職人の言葉にドキドキと鼓動が早まる。
…アタシは……もう元には………
それでも、女として見られている事に悦びが芽生えているのも確かだった。
「おいおい…。キョウちゃんを変な目で見てたら、俺らが承知しねぇぜぇ?」
…何でっ?
アタシだって…女なんだからっ………
って……アタシは………
その発言を恨めしく思った事に動揺する。
淫らな女に戻るとは限らない。
しかし、戻るかもしれない。
どうなるかは、杏子には分からなかった。
「ま、まぁ…。キョウちゃんをどうしようとかは………」
これ以上は聞いて居られなかった杏子。
「う…うぅ……ん………」
態とらしく呻き声をあげて、職人たちの会話を遮ったのだった。