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アネゴ的カノジョ
第6章 酒と温泉と…
「さ、着いたぞっ」
棟梁の声で立ち止まる一同。
「久々に来たけど、変わらねぇなぁ……」
「俺は初めてだから楽しみっスよ」
「いつでも行けると思ったら、なかなか来たいと思わねぇしなぁ……」
「そうそう。みんなそうだから、流行ってねぇっていうか……」
「まぁ、貸し切りみてぇで良いじゃねぇか」
口々に言葉を吐き出す職人たち。
「ねぇ?」
そんな燥ぐ職人たちに、杏子の声が掛かる。
「ん? どうした、キョウちゃん」
棟梁の問い掛けに、杏子は眉を寄せる。
「この……『乳乳【ニュウニュウ】温泉』って……。何か…さぁ……」
余りのネーミングセンスの無さに、引いていた杏子だった。
同じ地域の外れにある、建ち並ぶ学校とは反対側の山の中腹。
今まで、その名前に敬遠していた杏子だったが、職人たちの強引さに連れてこられていた。
「まぁ、名前よりも温泉だから良いじゃねぇか、キョウちゃん」
全く気にも留めていない棟梁。
「はぁ…。じゃあ、それは百歩譲って………」
溜息を吐き出した杏子。
チラッと視線を横に向けた。