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僕の伴侶は蜷局を巻く
第10章 10
ハーリーは唇を引き結んだのち、ため息をついた。「家で会合をするときに呼ぶことにしたの」
「そんな都合のいい使われ方で来てくれるはずがないじゃないッ!全部お母さんがやってたら私が売られた意味がないじゃないッ」

ハーリーは娘の腕に手をのせた。「そんな…。ただ、贅沢をしないようにしているだけなのよ」
「買い物も、洗濯、掃除は? アマテラは食事だけの要員ではないのよ。お母さんは出かけられなかったじゃない」
「食料品は届けてもらっているの」ハーリーは明るく答えたが、嘘っぽかった。「知ってた? 便利よ」

湯がわくのを待つ間に、ミハルはポットに紅茶の葉を入れた。「お父さんと話すわ。節約はいいけど…ストレスを伴うことは嫌というほど経験済みだもの。お父さんはどこにるの?」
「外出中よ。行く先も戻る時間もわからないけど」

ミハルは、母の眉間のしわに気づいた。おそらくハーリー自身は意識はしていない。「無職で堂々と外出しているのが気に入らないわ」
「少し、外出が増えただけよ。ほころんだ人脈を修復したりしているのよ。そんなことより、あなたの話を聞かせてちょうだい。山ほど話があるんじゃなくて?」

確かにそうかもしれないけれど。紅茶の道具をトレイにのせて運びながら、ミハルは思った。母はどこまで聞きたいと思うのかしら。そもそも、どこから話しはじめればいいのやら。



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